米国印刷機器メーカーであるカティーバ(Kateeva)社が先月末144人の従業員解雇計画を米国カリフォルニア州の雇用開発部に提出したものと伝えられた。カティーバは最近、サムスンディスプレイの量子ドット(QD)ディスプレイの生産ライン用のインクジェット印刷装置受注競争において韓国のセメス社に敗北していた。韓国紙が報じた。
17日、米国企業情報会社クランチベース(Crunchbase)によると、カティーバの最高人事責任者(CPO、chief people officer)であるモニカ氏(Monica Kaldani-Nasif)は先月27日、米国カリフォルニア州の雇用開発部( EDD:Employment Development Department)に144人を解雇するとした書類を提出した。カティーバの大量解雇は書類の提出4日後の先月31日から有効であり、以降60日間の通知期間を設けるという。
今年の初め、サムスンディスプレイは、最初量子ドット(QD)ディスプレイの生産ライン用のインクジェット印刷装置にカティーバの機器を採用しないことを決定した。 QDカラーフィルター形成用のインクジェット印刷装置5台と薄膜インキャップ(TFE:Thin Film Encapsulation)の印刷装置2台とも国内のセメス社に発注することにしていた。
韓国メディア・ジイレックによると、カティーバは、中小型有機発光ダイオード(OLED)TFE用のインクジェット印刷装置において注目されはじめ、現在、この分野の標準装備として受け入れられているという。サムスンディスプレイがカティーバの機器を搭載してからは、中国のディスプレイメーカーは中小型OLED生産ラインTFE工程にほぼカティーバのインクジェット印刷装置を使うようになったという。カティーバは、2008年の設立以来、2016年までの8年間で2億ドルを超える投資をサムスンベンチャー投資や中国のBOE、TCLなどから受けたという。
同紙によると、サムスンディスプレイのQDディスプレイの生産ライン用RGBインクジェット印刷装置の受注において「カティーバが白紙小切手を提示した」という言葉が出るほど積極的な価格をサムスンディスプレイ提示したという。しかし、サムスンディスプレイはセメスに発注した。セメスへの発注は、重要技術の国産化の意図が働いたという見方がある。
(参考記事:「サムスンQDディスプレイ装置は韓国セメス社から導入。内製化すすめる。」)