サムスン電子は年内に、これまでDRAMを生産していた華城(ファソン)キャンパスの第13ラインをイメージセンサーに転換するという。既に第11ラインでは移行作業を進めており、追加で拡大されたものとみられる。
これはイメージセンサー市場の成長と、最近ギャラクシーS20に搭載した1億800万画素イメージセンサーが市場で好評を博していることなどを考慮したものと解釈される。
市場調査会社であるTSRによると、イメージセンサー市場は、数量ベースで昨年から2023年まで年平均10%成長するとし、特に6400万画素以上の市場の場合、年平均115%の成長を続ける見込みとのこと。
昨年8月、サムスン電子は、ソニーより先に、業界初の1億画素を突破したイメージセンサー「アイソセルブライトHMX(ISOCELL Bright HMX)」を発売し、その同年11月に発売したXiaomi(シャオミ)の新型スマートフォンにも搭載した。
また、最近、「アイソセルブライトHM1(ISOCELL Bright HM1)」がギャラクシーS20に搭載されたが、専門家などから好評を得たという。
サムスン電子がイメージセンサー市場において積極的な動きを見せる背景には、世界最高の半導体微細プロセスと、過去「ギャラクシーカメラ」などのカメラ事業で培ったノウハウを融合することで、同市場においもて競争力を持てると判断したからであると、韓国メディア・デジタルタイムスは分析する。
サムスン電子がカメラ事業に本格的に参入したのは、2010年にサムスンデジタルイメージングを吸収合併した時であるとされる。
以後2012年にはイ・ゴンヒ会長が「ギャラクシーとサムスンのカメラが世界最高になる」とし、2015年までに世界1位の競争力を確保するよう指示。NXシリーズと通信機能を強化した「ギャラクシーカメラ」などを前面に出し、ソニーやキヤノンなどに挑戦した。
しかし、スマートフォンのカメラ機能の進化と相まって、中~低価格帯のデジタルカメラ市場は急激に縮小し、DSLRのような高価格帯市場ではソニーなどの牙城を崩せず、サムスン電子は事実上カメラ事業から撤退することとなる。
しかし、この過程で培ってきたイメージセンサーのノウハウが、モバイル市場で再び日の目をみている。
同紙によると、業界関係者は、「カメラのアナログ的ノウハウと世界最高の半導体微細プロセスの競争力が加わり、サムスン電子の競争力が一層強化された」とし「個人の映像コンテンツ制作需要が増え、ここに電気自動車(EV)と“モノのインターネット(IoT)”などの非IT市場も急激に成長しているだけに未来の半導体の一つとして定着した」と述べたという。