サムスン電子が自社のフォルダブルフォン(折り畳み式携帯電話)の第二弾として「ギャラクシーZフリップ」を発売したが、同製品は前作(ギャラクシーフォルド)とは異なり、第5世代(5G)移動通信ではなくLTEモデルとしてリリースされた。
北米や欧州などグローバル通信市場ではまだLTEが中心であり、5Gフォンに比べて製造原価も安いからだ。
2020年をフォルダブルフォンの普及元年と宣言したサムスン電子は、ギャラクシーZフリップを韓国・アメリカ・イギリス・スペイン・フランス・シンガポール・アラブ首長国連邦など10カ国以上でも同時に販売した。
韓国では昨年4月、世界初として5G通信の利用が始まったが、他の国では5Gの導入が遅れている状態だ。サムスン電子は、フォルダブルフォン第一弾である「ギャラクシーフォルド」を5G対応として発売したが、ギャラクシーZフリップをLTEモデルに変えた。
20日、韓国京郷新聞は、ギャラクシーZフリップが5G非対応なのは市場の拡大に注目したからであると分析。同紙によると、サムスン電子の関係者は、「フォルダブルフォンの大衆化をリードする製品として、より多くのユーザーにフォルダブル体験を提供するために、LTEモデルに注力するという戦略的決定を下した」と述べたという。
また、LTEフォンは5G携帯電話よりも製造コストが安く価格競争力があると同紙は指摘する。 5G対応の場合は5G環境での通信を可能にする専用のチップとモデムが必要だ。 5Gモデルだったギャラクシーフォルドの最初の発売価格は239万8000ウォン(約23万円)であったのに対し、ギャラクシーZフリップは165万ウォン(約15万円)にまで下がった。また、5Gフォンの場合、導入初期と国別・キャリア別にそれぞれの環境に合わせて試験運用が必要だが、LTEフォンはすぐに販売可能である。韓国内の通信業者も、顧客は5Gに注目するが、同時にLTEモデルのプレミアムモデルもあることで販売の幅が広がるとの声があると同紙は伝えている
同社は、ギャラクシーZフリップの発売と同時に、前作であるギャラクシーフォルドの価格を値下げしており、包括的な価格戦略によって売上を伸ばそうとしているようだ。
(参考記事:「サムスン、ギャラクシーフォルドとS10大幅値下げ。アップル式価格政策導入か?」)
韓国イーデイリー紙(先月)によると、ある移動通信関係者は「ギャラクシーZフリップがLTEバージョンとして出されるのは、5G対応の最高級仕様を目指すのではなく、世界市場を狙った戦略だ」とし「5Gモデムチップまで挿入するとなると厚さが太くなり折り畳んでポケットに入れるZフリップのスタイルには合わない」と述べたという。