LG化学とSKイノベーションが争ってきた電気自動車バッテリーをめぐる米国国際貿易委員会(ITC)での訴訟で、ITCはSKイノベーションの早期敗訴予備決定を出すことで、実質的にLG化学に軍配を上げた。
(参考記事:「[特集]EV電池をめぐる韓国企業同士の争いが終結か?米ITCが判決」)
圧倒的に不利な立場に置かれたSKイノベーション。このままでは米国内でのバッテリー生産が不可能になることから、現在LG化学側と和解交渉を行っているとされる。SKイノベーションはICTの決定後の声明において、「LG化学はパートナーと考えている」と言及した。これに対しLG化学の側も「対話の扉は開かれている」と返しており、和解の可能性は小さくないようだ。
問題は和解条件である。毎日経済新聞によると、LG化学側がSKイノベーション側に無条件の謝罪と再発防止対策、数千億ウォンの和解金を要求したという。和解金については2000億ウォン(約180億円)から5000億ウォン(約454億円)まで諸説があるとのこと。
ユン・ジェソン ハナ金融投資アナリストは、「SKイノベーションが5000億ウォン規模の和解金を支払い、特許を購入して和解することもできる」と予想した。 SKイノベーションがLG化学の関連特許の購入費用を支払う方法で解決策を模索するという予想だ。過去に類似の事例もある。 LG化学は2017年に中国のバッテリー企業ATLと「安全性強化分離膜(SRS)」の特許訴訟を繰り広げ、ITC提訴まで行った。結局、ATLからアメリカで発生した売上高の3%を毎年ロイヤリティで受ける条件で紛争を早期終結している。
両社の争いについては韓国政府も以前から和解を勧めてきた経緯があり、今回の和解交渉についても引き続き合意を促すだろう。また、SKイノベーションの投資が中断すると、国内(米ジョージア州)の雇用が見込めない他、米国内でのEVバッテリーの供給が不足しかねないという懸念から米国政府が仲裁に入るという指摘も以前からある。
両社は過去にもバッテリーセパレータフィルムの特許侵害に関連し争った事があるが、2014年訴訟を取り下げ、和解している。