イメージセンサー市場の第一人者であるソニーが新型コロナウイルスの影響で足踏みするなか、サムスン電子が「反射利益」を得ているという。韓国アジアトゥデイ紙が報じた。イメージセンサーは、サムスン電子がシステム半導体市場攻略のために力を入れている分野だ。
24日、市場調査会社テクノシステムリサーチ(TSR)によると、全世界のイメージセンサー市場は、スマートフォンの高性能化と産業機械のカメラ装着などで急成長すると見られている。市場規模は昨年172億ドルだったが2023年には270億ドルに達する見込みだ。同紙によると、韓国の業界では、イメージセンサー市場が近いうちにNAND型フラッシュ(約645億ドル)の市場規模に達すると見込まれているという。
イメージセンサー市場は、昨年基準でソニーが48.3%のシェア、サムスンが21%のシェアを占める。しかし、ソニーは最近になり注文の増加に対応しきれていないと同紙は伝える。
ソニー 専務CFOの十時裕樹氏は4日、同社の業績発表の席で「(イメージセンシング分野は)新型コロナウイルスの影響もあり、楽観はできないと見ている。外部の環境をきめ細かく見極めながら事業を運営したい」とし、新型コロナウイルスの影響について「感染拡大について憂慮している。現時点で十分な状況把握は困難だが、全力を努め、着手している。通期連結業績見通しは、上方修正したが、新型コロナウイルス感染拡大の影響は含んでいない。現時点で、業績への影響を把握するのは困難で、事態の進展により、上方修正を打ち消す規模の大きな影響がでることは否定できない」と言及していた。
同紙によるとソニーは中国のサプライチェーンに依存しており、生産量の拡大が困難となると予想。サムスン電子がこの間に生産量を増やすと分析する。サムスンは、京畿道龍仁(ヨンイン)や華城(ファソン)など国内のラインでイメージセンサーの生産量を増やす。ソニーのように新規工場を増設せずに、既存のラインを切り替えるため、比較的容易に増産が可能となると同紙は指摘する。ソニーが需要を満たせない場合、相当量をサムスン電子が代替すると予想する。
ト・ヒョヌNH投資証券研究員は「サムスン電子は、従来のDRAMラインだった第11ラインに続き第13ラインの一部も今年イメージセンサーの生産ラインに転換するものと見られる」とし「そうなれば、現在の5万5000枚の生産能力(capa)が6万5000枚に増える」と分析した。
サムスン電子はまた、競争力強化のために、最近、次世代製品である「アイソセルブライトHM1」を発売した。この製品は、1億800万画素を介して、従来よりもカメラの感度を最大2倍以上引き上げた。通常被写体を拡大撮影するためにズーム機能を活用する場合、画像の画質が低下するが、画素を増やして、これを防いだものである。サムスンの最新ギャラクシーSシリーズである「ギャラクシーS20ウルトラ」の高性能カメラ機能もこのセンサーが土台となった。
同紙によると、業界関係者は「ギャラクシーS20超がよく売れるほどイメージセンサー販売も肯定的な影響を与えるだろう」と述べたという。
ただし、現在は韓国国内でもコロナウイルスの感染が拡大しており、その影響について同紙は触れていない。