LGがOLED広州工場に「決死隊」を派遣。量産開始を急ぐ
(写真:LGディスプレイの中国広州工場=同社提供
LGディスプレイが最近、中国広州のOLED(有機発光ダイオード)工場に韓国人エンジニアを再度派遣したことが確認された。チョソンビズ誌が報じた。新型コロナウイルス感染症拡)散のため量産開始が遅れている同工場だが、「決死隊」を送ったとみられる。
同紙によると、新型肺炎拡散のため一度は韓国に帰国していた韓国人エンジニアたちを、26日から再び広州に投入したという。 約1月ぶりの復帰だという。
広州の所在する中国広東省当局は25日、LGディスプレイに、韓国から来た従業員に対し14日間隔離措置をすると通知したという。しかし、広州総領事館の是正要求を受け、当日夜にこれを撤回。特別例外規定を適用し、個別防疫のみの措置に変更したと伝えられた。これは、広州工場でOLEDパネルの量産を急がなければならないLG側と、そのOLEDパネルを必要とする中国TVメーカー側の利害が一致したための措置であるとの見方を同紙は伝えている。
LGディスプレイは昨年8月末広州工場を竣工した後、下半期から量産に入る計画だったが、遅れに遅れていた。新型コロナウイルスの拡散により、量産開始時期は第2四半期にまで延びるという見方も出ていた。
(参考記事:[特集]LGの有機ELパネル供給に狂い。五輪商戦を前に不安広がる)
現在LGディスプレイは広州工場で生産したサンプルパネルの品質認証を受ける過程にあるといわれ、まだこれをクリアできていない状況だという。同紙によると、OLEDの核心製造工程の一つである封止(Encapsulation)工程において不良が出たとのこと。そこへ、新型コロナウイルスが発生したことにより、不良改善の作業がスムーズに行えない状況になったようだ。封止工程はOLEDパネルが外部の影響を受けずに長く使えるよう仕上げる段階であり、水分・酸素に脆弱なOLEDパネルの寿命を決定する重要な工程といわれる。
キム・ドンウォンKB証券研究員は 「広州OLED工場は、中国の地方政府から3兆ウォン(約2700億円)以上の資金が投入された」とし「工場の稼動は中国市場のOLED TV拡大のために必要であり、4月からは新規ラインの稼動が本格化するだろう」と予想した。現在、中国では、スカイワース、コンカ、チャンホン、ハイセンスなどがOLED TVを発売しており、ファーウェイやシャオミも販売を予定している。
これら中国企業を含め、LGディスプレイは世界各国のテレビメーカーにOLEDパネルを供給することになっているが、中国広州工場の量産開始時期が遅れているため、各社に必要数量を供給できるか不安が広がっていた。