中国の通信機器メーカーファーウェイは最近、「Mate Xs(メイトXs)」を発表した。サムスン電子の「Galaxy Z Flip(ギャラクシーZフリップ)」との対決となる。
Galaxy Z Flip とMate Xsは、両社とも第二弾となるフォルダブルスマートフォンであるが、両社は異なる戦略をとっている。
サムスン電子は、前作よりもフォルダブルフォンの携帯性とスタイル、低価格帯を重視したものとみられる。
一方、ファーウェイは、高価格帯を維持。(ディスプレイを外側に折り曲げる)山折り方式のままヒンジ部の改善に注力したようだ。
サムスン電子が、クラムシェル(貝殻のように折りたためる)デザインの新しい規格を適用しフォルダブル市場の流れを主導するのに対し、ファーウェイの新製品は、前作と比べて大きく変わった点がないというのが主な反応である。
両機種の最大の違いは、携帯電話の折りたたみ方式である。Galaxy Z Flip は谷折り(内側に折りまげる構造)方式をとっているが、Mate Xsは谷折り(外側に折り曲げる構造)である。
韓国メディア・ニュースウィックスは、Galaxy Z Flip は内側に折るため画面のベゼル(画面の枠)が内側にあり、ディスプレイを外側に露出させてしまうMate Xsより液晶破損や外部からの衝撃に対する懸念が少ないと評価する。
また、折りたたみ時には、手のひらの中にすっぽり収まる大きさのため、ポケットやバッグに簡単に入れられる優れた携帯性、スタイリッシュなデザインが目立つと指摘。
また、ユーザーが必要に応じて様々な角度で広げたままにしておくことができ、自撮り撮影や、Google Duoなどを活用したビデオ通話をしながら両手を自由に使用できる「ハンズフリー」ができるメリットがあるとする。
一方のMate Xsは前面にカメラが搭載されていないため、画面を広げた状態での自撮り撮影をすることができず、ビデオ通話もできない。代わりに山折り方式は谷折り方式のように、表示画面を別々に製造しなくても良いため、デバイスの厚さをより薄くすることができるというメリットがあると指摘。
Mate Xsの最大の欠点は、米国政府の制裁による影響でAndroid OSを搭載できなかった点にある。この影響によりユーザーは、Googleプレイストアを使用することができず、ファーウェイ独自のアプリストアからアプリをダウンロードしなければならない。
一方、サムスン電子は、GoogleのAndroidソフトウェアをベースにしており、GoogleアシスタントはMicrosoft社などのコラボレーションモデルを強化して利便性を高めた。
Mate Xsは想定売価として2710ドル(約29.3 万円)と設定されており、これは2400ドル(約26万円)であった前作のMate Xや239万8000ウォン(約21.5万円)であったGalaxy Foldより高額な設定価格である。
対してサムスン電子はGalaxy Z Flip をGalaxy Foldより75万ウォン(約6.7万円)ほど値下げした165万ウォン(約14.8万円)で発売した。
同紙は、高価格に起因するフォルダブルフォンの購入障壁を低くし、消費者層を拡大しようとするサムスンの戦略がうかがえると分析した。
ユージン投資証券は26日の報告書で、「サムスン電子とファーウェイは、ほぼ同じ時期にフォルダブルフォンの二つの製品を披露した」とし「サムスン電子は大画面とコンパクトタイプなどラインナップの強化、UTG採用、価格普及などのフォルダブル技術をリードしているのに対し、ファーウェイはまだ高価であり、不足している製品の改善や米中紛争によるGmail等のGoogleモバイルサービス未搭載のため、一般に販売されるのは難しいものと見られる」と論じた。