[特集]サムスンの中国スマホ市場奪還は可能か?(上)

 
かつてサムスンは、中国のスマートフォ市場においてシェア(占有率)1位だったが、近年は中国勢に押されシェアは0%台にまで落ちた。しかし、今回発売した「Galaxy S20」や「Galaxy Z flip」を前面に、再び中国市場を攻略するとの報道が韓国では目に付く。

シェア1位から圏外に・・
市場調査会社IDCによると、サムスン電子の昨年のスマートフォン出荷台数は2億9570万台であり、世界のスマホメーカーのなかで1位を占めた。しかし、中国の市場シェアは0%台と推定されている。
サムスンの中国市場におけるスマホシェアが0%台になったのは2017年であり、18年、19年と3年連続で0%台が続いている。
しかし、初めから中国市場で劣勢だったわけではない。IDCによれば、2013年の同社のシェアは18.7%でトップだった。だが、2014年には12.1%となり、シャオミ(小米科技)に続く第2位に後退。ファーウェイ(華為技術)、オッポ(欧珀移動通信)、ビーボ(維沃移動通信)といったメーカーがシェアを伸ばす中、2015年前半に5位以内に入ったものの、その後はトップ5から姿を消して「その他の企業枠」に入っていった。
中国のスマートフォン市場は中国企業が席捲している。上記中国のメーカーだけで全体の85%のシェアを占める。
サムスン電子は中国内の最後のスマートフォンの生産基地であった広東省恵州にあった工場を撤収した。サムスン電子は、2007年から同工場でスマートフォンを生産してきた。工場の撤収に伴い販売事業も撤退するのではないかという説も韓国メディアの間では浮上していた。
 

 
中国市場を放棄しない
サムスン電子の部のノ・テムン社長は2月11日、米国で開かれた「ギャラクシーアンパック2020」のイベントの直後、「中国市場は放棄しない。反転の姿を見せることができる」と述べた。
ノ・テムン社長は、同イベントにおいて、「ギャラクシーS20」と「ギャラクシーZフリップ」を披露。(後日コラボレーションが発表された)BTS(防弾少年団)のメンバーも登場するプレゼンス映像を背に、サムスンのスマホ事業司令塔として世界デビューを果たした形だ。
サムスン電子は今年、スマホ事業の責任者(IM部門部長=社長)に、同社史上最年少(52歳)となるノ・テムン氏を抜擢した。同紙は「ミスター最年少」と呼ばれており、同社で最年少昇進を重ねてきた逸材だ。次期CEOともいわれるなど、同社が期待を持って送り出す人物だ。同氏はギャラクシー製品に中心的に携わってきた人物であり、同氏自身が技術者(工学博士)でもある。
就任一年目のノ社長が中国市場でシェアを少しでも奪回できれば、大きな実績となるだろう。
IDCによると、昨年、中国市場では3億6670万台のスマートフォンが出荷された。うち、38.3%にあたる1億4060万台をファーウェイの製品が占めた。2位はビーボの6650万台(シェア18.1%)、3位はオッポの6280万台(同17.1%)、4位はシャオミの4000万台(同10.9%)、5位はアップルの3280万台(同8.9%)だ。
業界によると、サムスンの中国市場シェアは0.9%程度だといわれる。かつて1位だったメーカーのシェア数としては目を覆うばかりだが、逆に言うと、それだけ反転の余地が大きいともいえる。ほぼ駆逐されてしまった市場だけに、数%でも回復できれば社内的にも象徴的な成果になるだろう。人口が多いだけに、仮に3%のシェア回復であっても1千万台超の販売量を積み増せる。
人口が多いという点で見れば、サムスンはインドにも力を入れている。市場調査機関ストラテジーアナリティクスによると、インド市場におけるスマートフォンの出荷台数は1億5340万台となっている。規模としては中国の4割の水準だが、今後の伸び代は中国よりも大きい。サムスン電子はインドに1億台超の生産量を持つ工場を建てるなど、テコ入れを行っている。しかし、サムスン電子はすでに同市場で2位(3140万台)のシェアを占めている。最近は中国勢との競争で順位を落としている。長期的に見れば重要な市場であるのは間違いないが、短期的に見れば、中国市場で期待できるほどの反転(販売台数の上積み)は期待しにくい。そういう意味で就任一年目のノ・テムン社長とすれば、中国市場を攻略することが、より分かりやすい実績となる。では、サムスンの中国攻略法はどのようなものになるか?
 

 
新型肺炎はどう影響するか?
サムスンの中国攻略法を論じる前に、一つ考慮すべき問題がある。それは新型コロナウイルスの感染拡大。同ウイルスの感染拡大は現在、中国のスマホ生産にも影響を与えている。市場調査会社トレンドフォースは、新型コロナウイルスの影響により、2020年第1四半期の世界スマートフォン生産量が前年同期比で12%以上減少し、5年ぶりの最低値を記録すると予想した。
トレンドフォースは、スマートフォンの組み立て作業が労働集約的あることから新型コロナウイルスの影響が大きく、中国で企業の業務が遅延し、製品の生産に支障が発生。消費心理も萎縮していると説明した。このような理由から、トレンドフォースは今年第1四半期、アップルのスマートフォンの生産量が10%、ファーウェイは15%減少すると予想した。一方、サムスンは3%減少するにとどまると予測した。
アップルは先月17日、新型コロナウイルスの影響で、iPhoneの供給と需要に支障が発生しており、当初目標にしていた今年第1四半期(1〜3月)の売上高見通しを達成することは困難だろうと発表している。ファーウェイ社も中国内のメーカーと部品への依存度が高く、大きな打撃を受けるものと分析されている。
しかし、サムスン電子は、2009年からベトナムにスマートフォンの工場を移転し始め、昨年10月に広東省恵州にあった中国内の最後のスマートフォン工場を閉鎖するなど、現在はスマートフォンの約半分をベトナムで生産している。
このような状況は、サムスンにとってはシェア拡大の機会になる可能性はある。もちろん、事態が事態だけに、不謹慎な想定にはなるが、生産地が中国に集中しているファーウェイやアップルに比べ、ベトナムやインド、ブラジルにも生産地が分散されているサムスンが相対的に生産量を維持できるのは確かだ。
とはいえ、サムスンも自国の工場で感染者が発生している。代わりに増産しようとするベトナムでも、韓国から送られた技術者がベトナム政府の措置で隔離されている。生産地が分散されていても、量産などに関わる部分はコアな技術は本国(韓国)の人材が必要であり、その技術者がスムーズに海外移動できないとなれば、サムスンの置かれた「相対的優位」は薄れるだろう。
なので、当然であるが、より主体的な意味での攻略法が必要になる。(下につづく)
 
 

執筆:イ・ダリョン(編集長)

 
 

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