サムスン電子が5月に米国シリコンバレーで開催する予定だった「サムスンファウンドリフォーラム2020」を無期限延期すると16日明らかにした。新型コロナウイルス(コロナ19)の世界的な感染拡大の影響によるものだ。複数の韓国メディアが報じた。
ファウンドリフォーラムは、サムスン電子が2016年から世界のシステム半導体業界関係者を対象に、同社のファウンドリ(半導体受託生産)事業と技術を紹介し、協力関係を構築することを目的として進めてきた行事だ。毎年5月に米国を皮切りに、6月に中国、7月に韓国、9月に日本、10月に欧州などで開かれきた。
同国マネートゥデイ紙は、フォーラムの延期が、サムスン電子の今後の半導体事業戦略に与える影響について注目。サムスン電子は、ナノメートル(㎚、1ナノは10億分の1m)単位の先端超微細工程と、そのための極紫外線(EUV)工程を公開し、委託生産を受注する場としてファウンドリフォーラムを活用してきた。
(参考記事:「サムスン総裁がEUV専用ライン再び視察、同ラインの本格稼働も発表。」)
フォーラム延期により、60億ドルを投じて先月本格稼動させた華城(ファソン)事業所内にあるEUV(極紫外線)工程の専用ライン「V1」の生産戦略に支障が出る可能性が高まったと同紙は指摘する。計画に従って、ここで7ナノ以下の超微細プロセス製品を昨年より3倍以上生産するためには、クアルコムやAMDなど米国メーカーの委託量を追加受注する必要があるが、難しい状況だという。
サムスン電子は、世界メモリー半導体市場では圧倒的な1位を占めるが、ファウンドリ部門では、市場シェア2位にとどまる。市場調査会社のトレンドフォースによると、昨年第4四半期基準でサムスン電子のファウンドリ市場シェアは17.8%で、台湾のTSMC(52.7%)に大きく遅れをとった。
サムスン電子は、当初5月21日に米国サンタクララでフォーラムを開催する予定だったが、13日にドナルド・トランプ米国大統領がコロナ19事態による国家非常事態を宣言したことから無期限延期を決定したと伝えられた。
(写真:サムスン電子のファウンドリ生産ライン全景=同社提供)