[特集]サムスンとも深い関係、ウォニックIPS社とは?業界2位の半導体装置大手

ウォニックIPS(원익IPS /WONIK IPS)社は、社員は1200名程度の中堅企業であり、半導体・ディスプレイ・太陽光エネルギーに関する装置を生産する。特に半導体の蒸着装置などが主力製品であり、サムスン電子の半導体製造に採用されてきた。
日本のメディアでまず目にすることの無い企業だが、韓国の半導体装置業界で2位の規模を持つ企業だ。半導体装置業界では世界的に見ても17位の売り上げを誇る(※ユジン投資証券)といわれており、「地味」ではあるが覚えておくべき企業だろう。証券会社のレビューをざっと見ても、ネガティブな意見を目にしない。
 
DB金融投資によると、2019年連結ベースの売上高は6692億ウォン(約573億円)、営業利益は411億ウォン(約35億円)と推定されている。
同社の母体はウォニックグループだ。同グループは半導体関連だけでなく、医療機器や化粧品、貿易なども手掛ける総合グループだ。ウォニックIPSは1991年に設立され、当初は「アト」(ATTO)という社名だったが、2011年に現在のウォニックIPSに変更された。
同社は当初、ガスキャビネット(Gas Cabinet)の国産化をベースに、2002年以来、半導体製造装置の分野に進出したとされる。
同社の代表的な機器は半導体の蒸着装置だ。トランジスタの電極となる金や有機半導体を真空中で加熱し、気化した材料を使って基板上に薄膜を形成する装置だ。半導体製造において中核となる装置の一つとされる。同社はCVDとALDの両方式を扱う。同社のウェブページによると、「1998年に世界初のALD装置の量産に成功し、半導体装置の分野の中核企業として成長しており、2004年には半導体CVD装置の開発と量産に成功してシェアを高めている」とある。主力半導体製造装置に「ジェミニ(GEMINI)」プラズマ化学気相蒸着(PECVD)システムがある。

(写真:ウォニックIPS社の蒸着装置「GEMINI」=同社Webページ)

韓国の電子系メディア・ジイレックが昨年10月に報じたところによると、ウォニックIPSの関係者は「ALDを使用したのと同じ優れた均一性能をユーザーに提供する」とし、「何よりもジェミニPECVD装置で作られた絶縁膜は、世界最高水準の均一性でよく知られている」と述べたという。また、「生産性に優れ、故障率が低く、投資コストと管理コストを大幅に削減することができる」とし、「3D NAND型フラッシュメモリ、コアの生産設備であるモールド(mold)工程設備量産化と10ナノ工程DラムHigh-k(high-k)市場参入にも成功した」と明らかにしたという。
近年は半導体以外にも事業を拡げており、同社のウェブページでは、「半導体製造装置のほかDisplayのDry Etcher、PE-CVDとOLEDの有/無機蒸着機分野など、多角的なポートフォリオを備え、総合設備会社に生まれ変わった」と記されている。
ジイレックによると、ディスプレイ分野においてウォニックIPSは特にドライエッチング(dry dtching)に強みを持っていると指摘。2007年から、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜トランジスタ(TFT)工程のドライエッチング装置を量産供給した。2012年には、有機発光ディスプレイ(OLED)用ドライに処(Dry Etcher)市場に参入した。最近では、中国市場に事業を拡大しているという。

ウォニックIPSは、R&Dに力を入れる企業としても知られており、昨年上半期の研究開発(R&D)費は、営業利益(406億ウォン)より多い513億ウォンを計上したとされる。同社のイ・ヒョンドク代表理事は、昨年8月の公開討論会において、「なぜ国内でグローバルトップレベルの総合設備企業が出ないかを真剣に考えなければならない」とし「技術はますます難易度が上がるのに、研究開発への投資が少なく挑戦の価値が失われている」と述べている。
同社はサムスン電子との関係が深い、イ・ヒョンドク代表理事をはじめ、理事会メンバー5人中4人がサムスン電子出身者で占めている。(※同社ウェブページ)韓国のCEO SCORE DAILY紙によると、サムスン電子は2010年にウォニックIPSの株式投資を行い、現在は3.8%の株式を保有しているという。R&Dに関しても、サムスン側の支援があると想像される。そのサムスンとの取引が今年さらに大きく増えると予想される。

韓国の電子新聞(etnews)が先月報じたところによると、ウォニックIPSはサムスン電子にモールディング装置を供給したという。同紙によると、ウォニックIPSがサムスン電子に成形装置を納品したのは初めてではないが、2017年以降は、海外企業に取引を奪われていたという。ウォニックIPSはR&Dによって機器性能を大幅にアップグレードさせたことで再取引に成功したと同報道では評価されているが、折からの韓国における半導体関連素材・部品・装置の国産化の流れも決して無縁ではないだろうと推測される。
同報道では、ウォニックIPSがサムスンの中国西安にある第2工場や、華城の極紫外線(EUV)ラインに必要なシステム、半導体用蒸着装置、平沢にある第2工場の10ナノDラムプロセス機器などの供給を獲得したと伝えられた。これらの機器の納品規模は合計7000億ウォン(約603億円)規模と推定されている。ウォニックIPS側はこのような大型発注に対応するため、工場増設も検討しているという。

そのため、同社の今年の売上規模は市場最大の成長を見せると予想されている。DB金融投資は、ウォニックIPSの2020年は9656億ウォン(約827億円)、営業利益は1609億ウォン(約137億円)と予想され、それぞれ44.3%・291.4%と高成長すると予想した。
 
 

執筆:イ・ダリョン=編集長

 
 

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