新型コロナウイルス感染症(コロナ19)の影響により、今年、TV用大型液晶表示装置(LCD)パネルの出荷量が、前年比10%以上減少する見込みである。同パネルの前年比減少は初めてだ。
中国のLCDパネルメーカーの生産量がコロナ19の影響で急減したうえ、当初6月と7月に予定された「ユーロ2020」と「東京オリンピック」などの大規模なスポーツイベントが相次いで延期されたことから、出荷の減少幅はさらに増える可能性もでている。
一方、人々が外出を控え、屋内生活が増えることから、ゲームや在宅需要などの増加により、モニターやノートブックパネルの需要は増えると予測されている。
26日、市場調査会社オムディア(OMDIA)によると、今年の全世界TV用LCDパネルの出荷量は2億5780万台で、前年(2億8720万台)より10.2%減少すると予測した。昨年、BOEなど中国企業の大規模な施設投資に伴い、LCDパネルが供給過剰となり、サムスン・LGディスプレイなど韓国企業が生産量を大幅に減らすなか、今年に入り、コロナ19の影響で中国企業のLCD生産も打撃を受けたため、このような結果になったと考えられる。
しかし、LCDモニター用およびLCDノートPC用のパネルに関しては、ゲームや在宅需要の増加により、今年の出荷量が前年比でそれぞれ7.9%(1億4360万台→1億5500万台)、2.1%(1億8940万台→1億9340万台)増える見込みだ。これまで韓国メーカーは、LCDパネルでは、モニターやノートPCなどの高付加価値製品の比重を高め、TV用パネルはQDディスプレイとOLEDなどプレミアム製品への転換を推進してきた。特にTV用LCDパネルの割合が高く、収益性が悪化していたLGディスプレイは、昨年第4四半期にはノートブック・タブレット・モニター用パネルの割合が36%となり、TV用パネル(28%)よりも高くなった。
ユーロ2020と東京オリンピックが延期されたことで、の演技で今年の一年、中国のディスプレイ、TVセットメーカーはもちろん、サムスンやLGも相応の打撃を受けるものと見られる。