最近の世界のスマホ市場は、「1位サムスン、猛追する2位ファーウェイ」という構図で語られることが多い。しかし、ある企業群の数字を足すと見方が変わってくる。
市場調査会社ガートナーによると、昨年の全世界のスマートフォン市場シェア1位は19.2%を占めたサムスン電子だ。 2位はファーウェイ(15.6%)、3位はアップル(12.6%)となっている。同じく市場調査会社であるカウンターポイントリサーチの調査でも似たような結果が出ている。
BBKグループという企業群
ところが、5位の「オッポ(OPPO)」、6位の「ビーボ(VIVO)」という中国メーカーと、上位には入っていないが、やはり中国メーカーである「ワンプラス(ONEPLUS)」と「リアルミー(REALME)」という企業4社は、実はBBK(步步高电子)という中国企業の系列にあるとされる。4社のシェアを合算すると18%まで上がる。(※韓国メディア試算による)これはファーウェイとアップルを抜いて世界第2位となる規模だ。
BBKは1995年に中国広東省で設立された総合家電メーカーである。上記4社はBBKの系列にあるとされる。
中国とインドで実質王者
BBKの4ブランドは欧米市場では存在感はないが、世界最大のスマートフォン市場である中国ではすでにトップシェアをほこる。カウンターポイントリサーチによると、昨年第4四半期の中国のスマートフォン市場1位はファーウェイとなっている。シェアは35%だ。しかし、2位のビーボ(17%)と3位のオッポ(16%)、それにワンプラスとリアルミーも併せると37%まで跳ね上がり、中国市場での実質王者となる。
世界第二位のスマートフォン市場であるインドでも、これらBBK系列4社が実質王者だ。昨年第4四半期のスマートフォンブランド別の同国市場1位は中国のシャオミの27%であり、2位はビーボ21%)、3位がサムスン(19%)だった。しかし、BBK系列4社のシェアを合算すると36%となり1位になる。
勢いもあるし「顔」も広い
昨年、インドでシャオミのスマートフォン出荷台数は前年比5%増加した。しかし、ビーボは同75%増、REALMEは同255%増だった。一方、サムスンは5%減となっており勢いの違いが明らかだ。
BBK系列4社はプレミアム製品から中低価製品まで幅広く売れている。ワンプラスの昨年のインドにおけるプレミアムスマートフォン(420ドル以上)市場でのシェアは33%であり、サムスン(26%)それを抜き1位だった。
BBK系列4社は、各社ごとにターゲットとするセグメントを分けているようだ。報道などによると、オッポとビーボは当初、ファーウェイやシャオミが強い中国の主要都市を避け、非主要都市を中心に販売を展開したことで足場を築いたとされる。以後、オッポは中低価市場を、ビーボはプレミアム市場をターゲットにした。オッポは、20〜30代の女性と学生層、ビーボは、20〜40代の男性層を攻略したとされる。このような住み分けはインドや東南アジア市場でも同様に展開されたという。ワンプラスは2013年オッポから分社化され主に高価格帯を、2018年にOppoから分社したリアルミーは中低価格市場で急成長している。

(写真:Realmeのグローバルサイトより)
オッポとビーボは設立者こそ同じBBK出身者だが、資本関係が無いことから実際は別の会社であるという見方もある。この辺りは色々と情報が錯綜しているが、ある韓国人識者は中国メディア・格隆汇の2016年の記事を引用し「同門企業という言い方が最もしっくりくる」と述べている。
気づけば世界中に?
実質世界2位となるBBK4社だが、世界1位のサムスンがほぼ駆逐された中国と、最近になって苦戦しているインド市場をそれぞれ攻略しているのは象徴的だろう。サムスンは昨年から中国でのOEM生産を始めているが、これらは(シャオミ含む)中国勢の製品のコストパフォーマンスの良さを意識したものであり、今後さらに拡大する方向だ。しかし、セグメント別にブランドを分けるという方法まではそう簡単に真似できるものではない。
Oneplusは、米国5G(世代)スマートフォン市場でも昨年、サムスンとLGに続き、市場シェア3位を占めた。日本でも大手通信キャリアの5Gサービス対応機になっている。Auにはオッポの「Find X2」が、Softbankには同じくオッポの「Reno3 5G」がそれぞれ名を連ねている。気がつけばBBK系列の製品が日本でも増えているかもしれない。