[特集]WTO提訴再開を表明した韓国政府と日本側の反応

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[特集]WTO提訴再開を表明した韓国政府と日本側の反応

韓国政府は2日、昨年7月にとられた日本による半導体素材3品目の輸出制限措置(輸出管理強化措置)について、世界貿易機関(WTO)の紛争解決手続きを再開すると発表した

日韓両国政府は、昨年11月22日に、輸出管理に関わる懸案の解決のため、局長級政策対話を再開した。韓国側は、輸出管理政策対話が正常に行われている間は、日本側による3品目の輸出規制強化措置に関するWTOの同手続を暫定的に停止するとしていた。

韓国産業省(産業通産資源部)は先月、日本側の懸念に対応するため、輸出管理制度を強化したとして、5月中の回答(日本側の公式的立場表明)を求めていた。
 
(参考記事:「[特集]韓国の輸出管理体制強化、日本側の回答に注目集まる」)
 
しかし、韓国産業省は2日、ブリーフィングにおいて「韓国政府は、今の状況が当初WTO紛争解決手続の停止の条件であった通常の会話の進行とはみなし難いと判断するに至った」とし「このため、日本の3品目の輸出制限措置のWTO紛争解決手続を再開することを決めた」と明らかにした。韓国産業省は、「これにより、韓国はWTOにこの件についてのパネル設置を要請して、今後の手続きを進める計画」であると明らかにした。
 

韓国側の発表全文

以下は、韓国産業省のイ・スンシク投資室長のブリーフィング全文だ。

“昨年11月22日、韓日両国政府は、輸出管理懸案の解決に寄与するための局長級政策対話を再開し、両国間の輸出管理政策対話が正常に行われている間は、日本側の3品目の輸出規制強化措置のWTO紛争解決手順を暫定停止することにした。

これにより、過去6ヶ月間、我が政府は、対話に誠実に取り組みながら、韓国の輸出管理が正常かつ効果的に機能していることを日本側が理解できるよう忠実に、そして十分に説明した。それと同時に、早急な懸案の解決に寄与するため、制度の改善を果敢に推進するなど最善の努力を傾けてきた。

その結果、日本側が対韓国の輸出規制強化措置の際に提出した▲韓日政策対話の中断▲通常兵器のキャッチオール規制の不十分▲輸出管理組織と人材の不足など3つの理由については、すべて解消された。また、EUVフォトレジスト、フッ化ポリイミド、フッ化水素など3品目については、過去11ヶ月間の運営過程において、日本が輸出規制の原因として指摘していた安全保障上の懸念が一切発生しなかった。

このような状況にもかかわらず、日本政府は、問題解決の意志を見せておらず、懸案解決のための議論は進展を遂げずにいる。これにより、我が政府は、今の状況が当初WTO紛争解決手続の停止の条件であった通常の対話の進行とはみなし難いとの判断に至った。

したがって、我が政府は、昨年11月22日に暫定停止していた、日本の3品目の輸出制限措置に関するWTO紛争解決手続を再開することを決定した。このため、WTOにおいて、同件についてのパネル設置を要請し、今後の手続きを進める計画だ。

WTO紛争解決手続を通じて、日本の3品目の輸出制限措置の違法性と不当性を客観的に証明することにより、我々の企業の正当な利益を保護し、両国企業とグローバルサプライチェーンが置かれた不確実性が早急に解消されるよう、すべての力を結集して対応していく。”(以上)
 

質疑応答で話されたこと
ブリーフィング発表後には質疑応答があった。

記者からの「日本側から回答がまったくなかったのか」という質問に対し、韓国産業省のイ室長は、「日本側の回答はあったが、私達が期待した回答はなかった。日本側の回答について具体的に述べるのは困難であることを理解してほしい。会話は継続する計画である。日本の側でも会話を続けたいと考えている」と答えた。

また、「WTOでの決着にはどのくらいの期間が必要であるのか」という質問に対し、韓国産業省のイ室長は、「(WTOに)要請すれば原則的に13カ月程度が(判決までに)必要となる」と答えた。

また、「ホワイトリストからの排除については提訴を検討しないのか?」という質問に対しては、「今回パネル設置を要請するのは、3品目の輸出制限措置についてである。ホワイトリストについては、現在、すべての可能性を開いて対応策を検討している」と述べた。

WTOへの手続再開日については、現在WTOの紛争解決機構がコロナの影響で開かれていないため、再開されればすぐに提起するとした。
 

日本政府の反応

NHKによると、日本の菅官房長官は午後の記者会見において、「これまで当局間の意思疎通を真摯(しんし)に積み重ねてきたところであり、今回の発表は極めて遺憾だ。去年7月に発表した輸出管理の運用見直しはWTO協定とも整合的だという日本の立場を、今後ともしっかりと説明していく方針だ」とし、政策対話の継続については「これまで経済産業省において真摯に対応してきたところだが今後の進め方については、予断を持って答えることは差し控えたい。輸出相手国の輸出管理も含め、総合的に評価して運用していくという方針に変わりはない」と述べた。

これに先立つ2日午前には、経済産業省の梶山弘志大臣が閣議後の記者会見において、「輸出管理については国際的な責務として適切に実施する観点から、国内企業や輸出相手国の輸出管理も含めて総合的に評価して運用する方針」という従来からの見解を示した上で、「(韓国とは)しっかりと対話できている」と答えたとロイター通信は伝えている。
 
 

翻訳・構成:イ・ダリョン=編集長

 
 


 
 
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