KAIST「電子信号の誤差を1京分の1秒水準で制御する技術を開発」と発表

研究開発

KAIST「電子信号の誤差を1京分の1秒水準で制御する技術を開発」と発表

KAIST(韓国科学技術院)機械工学科のキム・ジョンウォン教授の研究チームが超高速パルスレーザーを利用して、電気信号の時間誤差を1京分の1秒(100アト秒 = 10-16秒)以下の水準まで測定し、制御できる技術を開発した。この技術を用いることにより、極めて精密な時間性能が要求される次世代データ変換器や超高速通信、集積回路の性能を画期的に向上できることが期待される。

 博士課程のヒョン・ミンジ氏を第一著者に、高麗大学校電子情報工学科のジョン・ハヨン教授チームとの共同研究で遂行されたこの研究は、国際ジャーナル、「Nature Communications」に7月22日掲載された。(論文題名: Attosecond electronic timing with rising edges of photocurrent pulses)
 

(画像:KAIST提供)

 
 超高速パルスレーザーを利用すると、既存の技術では達成することが困難であった時間安定度を得ることができるため、ここ十数年間、超高速パルスレーザーからマイクロ波の周波数成分を分離し、低位相雑音特性の正弦波の電子信号を発生させる研究が活発に行われてきた。しかし、多くのデジタルシステム、情報通信システムは正弦波ではなく、パルスや矩形波などの、非線形的クロック信号を用いることが多い。これまで、超高速レーザーからパルス信号、矩形波のクロック信号を生成し、その雑音特性を測定した研究はなかった。研究チームは、独自開発した時間誤差測定技術を利用し、超高速レーザーから生成した電流パルス信号の時間誤差を50アト秒の時間分解能で測定することができた。これにより、電流パルスの立ち上がりエッジ(rising edge)での時間誤差が100アト秒水準で、極めて小さいことを世界で初めて明らかにした。

 研究チームはまた、このような時間誤差が、光信号の振幅雑音の時間領域での雑音への変換によって制限されていることを明らかにし、光信号の振幅雑音を制御することで電流パルスの立ち上がりエッジでの時間誤差を64アト秒水準まで制御した。

 近年、電子システムとデータ速度が急激に高速化するにつれ、パルスや矩形波のクロック信号の時間誤差を縮めることが極めて重要になってきている。既に、高速データ転送、データ変換、チップの間の高速通信、5G通信などでは、時間誤差を数十フェムト秒(フェムト秒 = 10-15秒、1000兆分の1秒)水準に抑えることが要求されている。この研究の結果は、超高速レーザーを用いることで、近年要求されている水準よりも優秀な、100アト秒(1京分の1秒)水準まで電子クロック信号の時間誤差を制御できることを意味している。従って、今回の研究結果を利用することで、今後、超高速レーザーのICT分野での活用がより本格的になると期待できる。

 キム・ジョンウォン教授は「すでに今回の論文の後続結果として、極めて小さい時間誤差を持つ光電流パルスを利用して電子チップにクロック信号を注入し、動作させることに成功した」と明らかにし、「超高速レーザーを利用した多様な高性能ICT分野での応用を研究し続ける計画」と言った。

 この研究はサムスン電子未来技術育成センターの支援で行われた。


 
 
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