[特集]トランプ政権の対ファーウェイ半導体輸出規制拡大と展望(下)

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[特集]トランプ政権の対ファーウェイ半導体輸出規制拡大と展望(下)

本特集記事は、8月17日に米商務省が中国ファーウェイへの制裁を拡大させたことを受けて、韓国の政府系シンクタンクであるKIEP(対外経済政策研究院)が発表した報告書「トランプ政権の対ファーウェイ半導体輸出規制拡大と展望」(ヨン・ウォノ研究員)を日本語訳した記事の下編である。

 


 

3.評価と展望
 

■今回のEAR改正により、Entity Listに登録されたファーウェイおよび海外関連会社は、152社に増えた。
– 2019年5月15日、産業安全保障局(BIS)は、ファーウェイおよび関連会社68社をEntity Listに追加した。
– 2019年8月19日、ファーウェイ海外系列会社46社を追加でEntity Listに登録した。
– 2020年8月17日華海外系列会社38社を追加でEntity Listに登録する。
– ファーウェイ海外子会社のリスト追加は迂回調達を封鎖しようとする意図とみられる。
 
■一時一般許可の終了によるファーウェイの米国内ビジネスの封鎖
– これまで一時一般許可を介して米国のソフトウェアプロバイダはアップデートやパッチをファーウェイに引き続き送信することができたので、ファーウェイは、独自の携帯電話やワイヤレスネットワーク機器を使用する顧客に、これを配布することができた。
– しかし、一時的一般許可の終了により、ファーウェイは、米国内のネットワーク機器や端末のアフターサービスおよび更新が不可能となる。
– 例えば、Googleは一時一般許可なく既存機器に対するセキュリティとサービスの更新、アプリケーションの提供をさらに行うことができなくなる。
– 結果的にユーザーが離脱することでファーウェイは、米国内のビジネスはもはや不可能になることが見込まれる。
 
■今回の改正により海外生産製品の対ファーウェイの輸出規制がより厳しくなる。
– 今回のEAR§736.2(b)(3)「General Prohibition Three」改正の核心は、[適用範囲の拡大2]である。
– 何よりもファーウェイは、今回の米国の制裁強化により致命的な打撃を受けることを避けられないとみられる。
– 中国企業のSMICではファーウェイの半導体生産は不可能とみられる。
– SMICの技術力がサムスンやTSMCに比べ2〜3年遅れている点を省いても、中国が半導体産業を育成するため戦略的に投資しているSMICは米国の制裁対象になることがありうるため、米国の許可なしに半導体を供給することはできない。
 
■2020年5月15日以降、ファーウェイは、台湾メディアテックを利用したシステム半導体の迂回調達をしようと試み、米国政府は、このような迂回調達を遮断するために、8月17日に輸出規制を強化した。
– 米国の5月15日制裁によりファーウェイが現実的に選択できる唯一のシステム半導体の調達方法は、半導体の開発をファーウェイとは無関係なファブレス企業に依頼するものであり、実際にファブレス企業である台湾のメディアテック(MediaTek)を活用した。
– しかし、ウィルバー・ロス商務長官とマイクポンペイオ国務長官の発言に見られるよう、今回の措置は、明らかに、これらのバイパスを遮断するための輸出規制強化措置である。
 
■2019年5月に初めてファーウェイがEntity List登録された後、ファーウェイは、解決策を継続的に探してきたが、今回の措置により、もはや半導体の調達が難しいとみられる。
 
■ファーウェイは国産化加速に対応展望や容易ではないと見られる。
– ファーウェイは、8月から米国の技術にまったく依存しないサプライチェーン(supply chain)を社内に整備するプロジェクトに着手したことで知られており、まず、ノートパソコンを対象にしようとしている。
– しかし、主力商品であるスマートフォンや5Gネットワーク機器の場合、現実的な結果を得るまでには相当の時間がかかるものと見込まれる。
– 8月7日に余承東ファーウェイ消費者部門CEOはファーウェイのフラッグシップ携帯電話に入る自社製半導体「キリン(Kirin)」をこれ以上生産できないと発表した。
– 先進的な非メモリ半導体の場合、米国の5月15日措置以降、8月初めになって生産中止を発表したように、今回の措置も、在庫切れとなる約3ヶ月後辺りから影響が可視化されることが見込まれる。
– したがって、すでに確保した半導体在庫が枯渇されている2020年の年末から2021年初めまでにファーウェイが解決策を見つけられない場合、スマートフォンや5G機器市場に大きな変化が生じると考えられる。
 
■したがって、短期的には、ファーウェイを相手にした韓国企業の半導体関連の輸出に打撃はあるだろうが、アメリカの措置が(現時点で)ファーウェイのみをターゲットにしているという点で、中国のハイテク産業全般への影響は限定的であり、長期的には、韓国の半導体産業への影響も限定的と判断される。
 
■むしろ、中国は、今回の経験を通じて先進的な半導体の国産化に一層拍車をかけると見込まれ、韓国の半導体産業が比較優位を維持するために、中国との技術格差を維持することがさらに重要になる。
– 中国は半導体産業に2020年上半期だけで1440億元を投資したが、これは2019年の年間総投資額(640億元)の2.2倍のレベルである。
– 8月4日には国務院が「新時代の集積回路産業とソフトウェア産業の高品質の発展推進政策」を打ち出し、△集積回路線幅が28nm以下であり、15年以上の実績がある集積回路生産企業に対して、10年間法人税免除し(SMIC( 28nm、14nm)が主な恩恵を受けると見込まれる)△半導体のR&Dと生産に必要な機器、材料、SWの輸入関税も免除し△地方政府が半導体産業の育成のための各種投資・融資活動をするためにリスクを中央政府が保証するなどの政策を発表している。
 
(以上)
 
(参考記事:「[特集]トランプ政権の対ファーウェイ半導体輸出規制拡大と展望(上)」)
(参考記事:「米輸出管理規定(20.8.27)原文」)
 
 

翻訳・構成:イ・ダリョン=編集長

 
 


 
 
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