[特集]LGとSKの対立が再び激化…バッテリー訴訟めぐり世論戦

EV電池 特集

[特集]LGとSKの対立が再び激化…バッテリー訴訟めぐり世論戦

「バッテリー特許訴訟」の和解金をめぐって、LG化学SKイノベーションの攻防が熱くなっている。

両社の訴訟経緯および和解協議については、本紙でも度々取り上げてきた。韓国メディアなどでは当初、米ITC(米国国際貿易委員会)で早期敗訴判決を受けたSKイノベーション側が圧倒的不利であることから、(金額推定に幅はあるがおよそ)1兆ウォン(約900億円)とされる和解金をSK側がLG側に払うことで和解するものとみられていた。

両社の和解については、電気自動車バッテリー産業の安定的成長を押し進めたい韓国政府も望んでいると伝えられる。しかし、両社の和解交渉は中々折り合わず、9月になって一気にボルテージが上がった。先週には両社がそれぞれ声明発表とそれに対する反論を行い、さながら世論戦の様相をみせた。
 
(参考記事:「バッテリー訴訟、LGとSKの和解協議難航か…金額に大きな開きと韓国紙」)
 
両社の主張と反論

LG化学は4日(午前10時)、声明文を発表し、「SKイノベーションの主張は根拠がない」とし「事案の深刻性を知らせる」と強調。声明文においてLG化学は、「SKイノベーションが侵害されたと主張する994特許は、SKイノベーションが特許を出願した2015年には既に、自社(LG化学)が保有していた先行技術」であるとし、「2013年からクライスラーパシフィカに販売されたA7バッテリーがその技術を搭載していた」と述べた。

続けて、「SKイノベーションは、自社(LG化学)の技術を特許としてこれを登録した後、逆に特許侵害訴訟を提起した」とし、これを隠すための証拠隠滅の状況を指摘したところ「交渉優位のための圧迫」と「根拠のない主張をしている」と述べた。
 

 
これに対し、SKイノベーション側も同日夜にすぐさま声明文を発表し、「994特許は、同社(SK側)が独自に開発した技術」であると反論した。 SKイノベーションは、「特許出願当時、LG化学の先行技術があった場合、登録されてもいないこと」であり、「自分たちの技術が特許化されたものであれば、出願当時にLG化学が異議を申し立てただろう」と主張した。

続けて、「LG化学は、自社が独自開発した特許を自分たちの技術であるかのように誇張、歪曲している」とし、「データも削除したことや、証拠隠滅のためのいくつかの行為もなかったので、ITCにおいて解明される」とした。

これを受けて、LG化学は6日にも声明を発表した。LG化学は、「訴訟に正々堂々と取り組んでほしい」とし、「特許訴訟の主張は場外世論戦ではなく、決められた法的手続きに基づいて、両社が忠実に解明していかなければならない」と指摘した。

続けて、「営業秘密訴訟で証拠隠滅と法廷侮辱に敗訴の判決を受けたのに続き、国内訴訟でも敗訴したSKイノベーションが正々堂々とこれに言及する資格があるのかも疑問」とし、「SKの独自技術であれば、SKイノベーションが証拠を隠滅した理由から訴訟の過程で明確に明らかにすべき」と付け加えた。

事前に当該技術を特許登録していなかった理由については、「当時の基準では、特許として登録して保護されるべき高度の技術的特徴がなく、製品に搭載されて自然に公開されれば、特許紛争リスクもないだろうという戦略的判断によるもの」と説明した。

SKイノベーション側が「訴訟手続がしばらく行われた後になってようやく問題を提起した」と指摘したことについては、「提起された直後に、その先行技術であることを把握して対応してきた」と主張した。それとともに「独自の技術であれば堂々と、SKイノベーションで発見されたLG化学の関連資料とこれを隠滅した理由について、訴訟の過程で明らかにすべきだ」と付け加えた。

SKイノベーション側も同日午後にすぐさま反論文を出し、「すでにリリースされた競合他社の製品に適用された技術を盗み、無効になる(ことが予想される)特許を出願するバカはいない」と主張。

続けて、「LG化学の主張が事実ならば、昨年994特許侵害関連訴訟を提起したときに、A7バッテリーを提示し、特許無効を主張したはず」とし、「しかし、訴訟が提起されてから2ヶ月が過ぎた後、提出した最初の書面で100以上の特許を記載しながらも、そこにA7はなかった」と付け加えた。
 

 
証拠を隠滅したというLG化学側の主張についても、「特許権者であるSKイノベーションのイメージを損ない、優位に立とうという非紳士的行為」とし、「LG化学は、訴訟を先に開始した当事者として事実を根拠に決められた手続きに正々堂々と取り組んでいただきたい」と強調した。
 

SK側の狙い

圧倒的不利とされるSKイノベーション側はこのように「強気」に出る背景については、LG側が不当に和解金を「吹っ掛けられた」ことへの反発があるという印象を持つ。実際のところは分からないが、LG化学側は(SK側にとっては)法外な和解金を要求した可能性があり、徹底抗戦へと舵を切ったのかもしれない。

しかし、来月にも確定するITCの判決は、敗訴が取り消される可能性はかなり低いとされており、敗訴が確定すると、SKイノベーション側は、米国の工場に生産設備など一切を輸入できなくなる。世界シェア1位のLG化学には見劣りするも、世界の電気自動車バッテリー市場シェアにおいて6位に浮上したSKイノベーションにとって、それは大きすぎる痛手だ。

一方で、SKイノベーションの米市場における供給先であるフォルクスワーゲンとフォードは、ITCに対し嘆願書を提出している。韓国メディアなどによると、両社はそれぞれ、自社の電気自動車事業はもちろん、米国の労働市場にも及ぼす影響が大きいとし、ITCの訴訟結果(早期敗訴判決)に対して憂慮を示したとされる。

ウォールストリートジャーナル(WSJ)は6月、「電気自動車のバッテリーの営業秘密侵害訴訟の件は、最終的に拒否権を持つ米国通商代表部(USTR)まで上がる可能性がある」とし、「この過程で、米国政府の拒否権(Veto)行使の可能性も排除できない」と報じている。

米国に多くを投資するSKイノベーションは、一種の政治的駆け引きを仕掛けているようにみえる。
 
(参考記事:「[特集]EV電池をめぐる韓国企業同士の争いが終結か?米ITCが判決」)
(参考記事:「LGとSK、賠償額で神経戦か…バッテリー訴訟」)
(参考記事:「SKイノ、米バッテリー工場に3兆ウォン追加投資を決定」)
 
 

執筆:イ・ダリョン=編集長

 
 


 
 
あなたの感想をSNSでシェアする


この記事について、あなたの感想は?
  • 強い関心がある
  • 関心がある
  • どちらでもない
  • 関心がない
  • 全く関心がない