[特集]米国による中国SMICへの制裁検討…各国半導体装置企業への影響は?

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[特集]米国による中国SMICへの制裁検討…各国半導体装置企業への影響は?

米国政府がファーウェイに続き、中国のファウンドリ(半導体受託生産)最大手であるSMIC(中芯国際集成電路製造)にも制裁を科すとの見方が出ている。

ロイター通信(4日)によると、米国国防省当局者は「SMICと中国軍の関係を調査している」とし「他の政府機関と協力してSMICをブラックリスト(エンティティーリスト)に載せ制裁案を論議中」と述べたという。

ブラックリストに入ると、同企業に対し米国の技術が入った半導体製造装置や部品を売る際は、米国商務省の許可を受けなければならない。現在、中国のエレクトロニクス企業では、ファーウェイやZTE、これらの系列企業などがブラックリストに載っている。

仮にSMICがブラックリストに入ると、SMICは事実上、米国製および米国製部品や技術の入った半導体装置などを得ることができなくなり、事業の継続に大きな支障をきたすことになる。

SMICは同日、ロイターの報道を受け、声明文で「このニュースに非常にショックを受け、困惑している。SMICは誤解を解消すべく、米国政府との誠実で透明性のある対話をしたい」と明らかにしている。
 

SMICとは?

SMICは、2000年に設立された中国の最大手ファウンドリである。世界市場シェアは4.5%(第3四半期推定値基準)で世界5位の規模を持つ。SMICの第2四半期の売上高構成をみると、地域別では、中国(香港を含む)の割合が66.1%(6億2032万ドル)に上る。

最近28㎚以下の工程を適用した製品を12インチウエハ基準月10万枚生産の生産ラインを北京に建設するという計画を発表している。

去る7月には、中国のナスダックと呼ばれる上海証券取引所の科学技術革新版(科創板)に上場し、77億ドル(約8180億円)の資金調達に成功したと報じられている。

SMICが有する微細工程技術は、サムスン電子や台湾TSMCに比べ、2世代遅れているというのが業界の評価だが、米国によるファーウェイへの追加制裁によりTSMCなどから半導体を調達できなくなっていたことから、SMICへの期待は大きかった。

しかし、もしもSMICに制裁が科されれば、ファーウェイも含め、大きな痛手となる。SMICに対する制裁について、韓国経済新聞は、「ファーウェイへの確実な打撃」を狙ったものであると分析した。

同紙はまた、半導体産業の育成を目指す中国のファウンドリ産業を留まらせる狙いも米国にはあるとの見方を示したうえで、「中国政府は最近、SMICに対し、約2兆7000億ウォン(約2420億円)を投資し、15年間法人税を免除すると発表した」ことで、「中国の政府次元のSMIC育成が可視化し、米国が先制攻撃に出たことが半導体業界の共通した意見である」と伝えている。

ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は7日、SMICのブラックリスト掲載について、「実施されれば重要技術の国産化を狙う中国政府の野望の核心に切り込む一手となる可能性がある」と指摘した。

一方で同紙は、「中国メーカーに対し合計で数十億ドル(数千億円)相当の半導体製造技術を輸出している米企業の間でも不満が生じる可能性がある」とも予想した。また、8日の記事では、「米国の半導体製造装置メーカーに投資する投資家は影響を覚悟すべきだ」とも報じている。
 

韓国の装置メーカーにはメリット?

ハナ金融投資のキム・ギョンミン主席研究員は、「韓国のプロセス機器の株価は、このようなニュースから影響をほとんど受けない」とし、「サムスン電子向けやSKハイニックス向け売上比率が高いからである」と分析した。

キム主席研究員はまた、「SMICのコスト比率を高く占める米国企業にはLam Research(エッチング装置)、KLA-Tenor(検査装置)があるが、中長期的にこれらと競合する韓国バリューチェーン(ピーエスケイ、パークシステムズ)とSMICの関係が強化されると期待する」と述べている。

たしかに短期的にはそのような期待もあり得る。しかし、ファーウェイの例のように、今般の米国による対中企業制裁は、制裁対象の徹底排除の意図が色濃く、今後、制裁の追加・拡大が行われる可能性も排除できない。そのため、(少なくともトランプ政権が続くかぎり)日本を含むどの国の半導体関連企業も、中国企業との取引リスクを注視せざるを得ないだろう。

SMICに関しては、仮にブラックリストに入らないとしても、すでに米国からの妨害を受けているとの報道が以前からあった。韓国メディアなどによると、同社は蘭ASMLから5nmレベルのEUV露光装置を導入しようとしたが、米政府の圧力で実現しなかったというものだ。

中国政府がいくら巨額を支援したとしても、露光装置が入らなければどうしようもない。最新の装置を入手できないということは、それを入手する他社との技術格差も開いていくことと同義でもある。
 
(参考記事:「中国SMIC、50億ドル投じて北京に半導体工場建設か」)
(参考記事:「[特集]トランプ政権の対ファーウェイ半導体輸出規制拡大と展望(上)」)
(参考記事:「韓国研究機関「ファーウェイ制裁、韓国半導体企業にも影響」」)
 
 

執筆:イ・ダリョン=編集長

 
 


 
 
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