[特集]世界における韓国AI産業の現状…インフラや特許は上位も政府戦略や人材など劣る

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[特集]世界における韓国AI産業の現状…インフラや特許は上位も政府戦略や人材など劣る

日本の経団連に該当する、韓国の全経連(全国経済人連合会/FKI)は16日、「グローバルAIインデックスで見た韓国AI産業の現状」という題のレポートを発表した。

同レポートにおいて全経連は、韓国のAIインフラ・特許は世界でも上位圏にあるが、人材・政府戦略・企業環境に関しては下位圏にあると評価している。以下に本文を掲載する。
 
————–(以下本文)
 
去る6月、ポストパンデミック時代に国家と産業全般のデジタル化を推進する「韓国型ニューディール(デジタルニューディール+グリーンニューディール)」計画が発表されたが、実際のところ、「IT強国」ではあっても、(AIでは)インフラ・特許を除き、世界の舞台で取り残されることが分かった。

全経連が国別のAIレベルを比較した「グローバルAIインデックス」(※1)を分析した結果、韓国が優れたICTインフラを持つにもかかわらず、AI産業の成長が遅れていることが分かったと明らかにした。全経連は、新型コロナウイルスにもかかわらず、急速に成長する世界の人工知能(AI)市場における競争のためには、政府の投資支援、貧弱な人材プール、規制の多い産業条件などを改善する必要があると強調した。

 (※1)英国のデータ分析メディア、Tortoise Intelligenceが、世界経済フォーラムで今年2月に発表
 

AI生態系は脆弱

去る2月に世界経済フォーラム(WEF、World Economic Forum)で発表された「グローバルAIインデックス」によると、韓国のAI生態系レベルでは54カ国のうち、総合順位8位となった。しかし、詳細項目別にみると、全7部門(※2)のうちのインフラ開発を除いた5つの部門では、インデックスのスコアは中下位レベルでとなっており、特に人材、運用環境、政府の戦略とベンチャーの現状は、平均にも満たないことが分かった。

 (※2)全7部門:人材、インフラ、運用環境、研究レベル、開発、政府戦略、ベンチャーの現状など

米国はAI専門家レベルと、インターネット・ネットワークなどのインフラ、学術論文などの研究レベルとベンチャー企業の規模と投資ファンドなどベンチャーの現状に至るまで4つの部門で1位を占めた。英国は、データ規制等の行政条件を意味するオペレーティング環境部門において、中国は特許と新製品などの開発部門と政府の戦略において、それぞれ1位を占めた。一方、韓国は、ネットワーク環境と安定性を意味するインフラ部門と特許、製品革新などの開発部門において5位圏内に入ったが、残りはすべて中下位圏に留まり、AI発展のための産業生態系が脆弱であることが分かった。

一方、新型コロナウイルスによる打撃にもかかわらず、現在、世界中のAI市場が急激に成長している中で、米市場調査機関IDCは最近、全世界のAI市場規模を2020年に1,565億ドル)となり、2019年に比べて12.3%増加するとし、2024年には3億ドルを超えると予測した。(※3)また、同機関で発表された韓中AI市場の見通しによると、2023年基準で、中国は119億ドル(※4)、韓国は6,400億ウォン(約572億円)規模の成長をし、韓国のAI市場規模は中国の約4.5%水準に過ぎないと予測した。

 (※3)IDC、「Worldwide Semiannual Artificial Intelligence Tracker」(2020.8.4)

 (※4)Global Market Intelligence、「White paper」(2019、資料IDC)
 

①政策支援の不足:中国政府3年で1.5兆円vs韓国政府の10年で1100億円

全経連は、世界初の5G導入など優れたインフラにもかかわらず、AI産業の成長が遅い理由の一つとして、政府の政策支援が相対的に不足していると指摘した。グローバルAIインデックスによると、AI分野に対する国家レベルの投資支援などを意味する「政府戦略」部門における韓国の順位は54カ国のうち31位となり、全7部門のうちで最も低い評価だった。

2017年、中国は「次世代AI発展計画」において、3年間で1千億元(約1.5兆円)を投じると表明したのに比べ、韓国は「AI国家戦略」において今後10年間で1.3兆ウォン(約1100億円)の投資計画(※5)を昨年末に発表した。これらの計画について、関連業界では、AI先進国に追いつくには力不足という評価をした。最近5G産業の育成においても、韓国政府が民間と共同で投資するとした30兆ウォン(約2.7兆円)についても、1.2兆元(約18.6兆円)という約7倍の水準をもつ中国政府の投資額に比べると、規模の違いが格段に現れている。

 (※5)AI半導体開発1兆96億ウォン、AIファンド3000億ウォン(出典:人工知能国家戦略)

一方、英国のオックスフォードインサイトと国際開発研究センターが発表した「政府のAI準備も指数」においても、韓国は2017年の4位から2019年26位へと22階段下落し、別途「AI総括長官」を選任するアラブ首長国連邦(UAE、19位)はもちろん、マレーシア(22位)にも劣ることが分かった。
 

②人材不足:世界トップレベルAI人材、米国46.0%vs韓国1.8%

韓国AI産業の成長においてAI人材も不足していると指摘された。グローバルAIインデックスでAI技術の専門人材を意味する人材部門は11.4点となり、1位の米国の10分の1レベルとなった。 AI関連学術論文などの出版物の量的レベルと引用程度を意味する研究レベルは22.4点となり22位だった。

全世界的にAI人材確保競争が激化するなか、米国は企業主導、中国は国家主導でAI人材育成に投資していることが分かった。 「グローバルAI人材レポート2019」によると、2018年の世界の最高級AI人材22,400人のうち、米国と中国はそれぞれ10,295人(46.0%)および2,525人(11.3%)の人材が活動しているのに対し、韓国は405人(1.8% )に過ぎなかった(※6)

 (※6)カナダ人工知能企業、Element AI、「Global AI Talent Report 2019」Executive Summary
 

③ビジネス環境が劣悪:データ活用の規制や、スタートアップサポートの欠如

最後に、新産業の規制など、AIベンチャーやスタートアップが成長しにくい韓国のビジネス環境が問題に挙げられた。グローバルAIインデックスによると、データ活用方針と海外人材招聘のためのビザ、行政手続や規制環境を示す動作環境部門において、韓国は47.1点となり、54カ国のうち30位にとどまった。また、スタートアップの規模と投資を意味するベンチャーの現状部門においても54カ国のうち25位でスコアは3.3点に過ぎず、1位の米国(100点)に比べてはるかに低かった。

動作環境部門で1位を占めた英国は、有望企業の法人税の減免(28%→19%)、海外人材を誘致するためのビザ規制緩和など親企業環境の構築によって、「世界3大ユニコーンスタートアップ国」に成長できたと評価される。一方、韓国はビッグデータ活用のためのデータ3法(個人情報保護法、信用情報法、情報通信網法)が通過したにもかかわらず、仮名情報活用の範囲とレベル、主体などのあいまいさ、シンプルな規定違反にも刑事処罰まで適用するなど、過度の法的責任によりデータ活用の不確実性が依然として企業の負担として残っている。
 

企業の人材育成支援と高速かつ強力な規制緩和と投資支援が必要

キム・ボンマン全経連国際協力室長は、「今年一年は新型コロナウイルスにより、グローバル経済が萎縮し、業界全体が困難のなかでも、非対面時代(の到来で)AI市場は12.3%成長が見込まれるなど、未来産業として注目されているが、韓国の現住所は思ったよりも低かった」と指摘した。

続けて、「コロナによりAI市場の成長と既存産業との融合がさらに加速するなか、AI先進国である米国と中国に追いつくためには、技術競争力の源泉である人材の確保と高速かつ強力な規制緩和と投資、税制支援の拡大が必要だ」と強調した。また、「新産業分野であるほど、官民が共に走ることで成果が出せる」とし、「海外人材の誘致と企業の再教育、産学協力プログラムなどを、政府が積極的にサポートする必要がある」と付け加えた。
 
 

翻訳・構成:イ・ダリョン=編集長

 
 


 
 
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