[特集]テスラが提示したLG化学への圧力カード…テスラの電池内在をめぐる両社の関係

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[特集]テスラが提示したLG化学への圧力カード…テスラの電池内在をめぐる両社の関係

テスラは先月23日、米加州にあるフリーモント工場で「バッテリーデー」イベントを開催した。電気自動車産業をリードするテスラの同イベントは世界的にも多くの関心が寄せられた。

イーロン・マスクCEOは同イベントにおいて、電気自動車の更なる普及のため、販売価格を現行の350万ドル水準から250万ドル水準にまで下げる目標を示し、電気自動車の製造原価のうち最も多くのコストを占める電気自動車バッテリー(二次電池)の内製化を掲げた。

マスク氏はこの日、「私を特に悩ませていることの1つは、真に手頃な価格のEVが当社にまだないことだ。われわれがこれから生産するのはそれだ」としたうえで、「だがそのためにはバッテリーのコストを下げる必要がある」と述べた。

同社によるバッテリーの内製化については以前から論じられていたが、ついに公式方針になった。問題は、マスク氏が掲げたバッテリー価格の下げ幅だ。マスク氏は2022年までにバッテリーの価格を現在より56%下げると述べた。これは大きな下げ幅である。現在キロワット(kWh)当たり135ドル前後とされる電気自動車のバッテリーの価格を59ドル台まで引き下げることを意味する。

マスク氏はこのような価格引き下げを実現するためのいくつかのアプローチを説明したが、最も目を引いたのは、46800 (46mmX80 mm)サイズと大きい新バッテリーのデザインである。これは既存の21700(21mmX70mm)より一回り大きい。ウォールストリートジャーナル(24日)は、「新バッテリーは生産期間が短縮できて使用材料も少ない一方、より多くのエネルギーを蓄積できるため、資金を節約できる可能性がある」との専門家の意見を伝えている。
 

(画像:テスラが発表した46800サイズのバッテリー)

 
テスラは昨年、バッテリーセルの技術を持つマクスウェルテクノロジーとカナダのバッテリーメーカーであるハイバーシステムズを買収しており、バッテリー内製化への意思は確かである。ただ、「2022年に59ドル台」というバッテリー単価については、専門家の間で実現性を疑問視する声が多く聞こえる。ブルームバーグなど業界の予想によると、2023年~2024年に1kWh当たり100ドルというのが目標値とされる。テスラの目標単価はそれを大幅に下回る。

もちろん、やり手の起業家であるマスク氏は、専門家の分析も覆すかもしれない。電気自動車や民間宇宙ロケットなど、示すビジョンのスケールは桁外れだ。だが、マスク氏が今回掲げたバッテリー単価には、別の見方も存在する。
 

LG化学とテスラの関係

現在、テスラにバッテリーを供給するLG化学の株価が、バッテリーデー開催後に大きく下げた。また、同じくバッテリーメーカーであるサムスンSDIや、同国のバッテリー素材メーカーであるエコプロビーエム、ポスコケミカルなども一斉に株価が下がったことから、テスラのバッテリー内製化方針が悪材料になったのではないかと騒がれた。

しかし、LG化学の株価は、その後回復した。2日現在、下落前日の株価を上回っている。他の企業株価も軒並み回復した。ハナ金融投資のキム・ヒョンス研究員は分析レポート(28日)において、「年初来の株価急騰状況のなか、悪材料に敏感なタイミングで起きたイベントに株価の下落幅が拡大した」としつつ、「バッテリーデー後に、テスラの株価も下落していた点を勘案すれば、市場がイーロン・マスクによるバッテリー内製化の可能性を韓国二次電池セクターのファンダメンタルズ毀損としては解釈していない」との見方を示した。

キム研究員はまた、「(テスラによる)内製化イベントは、価格圧力のためのカードとして解釈することが妥当である」と冷静に分析した。
 

(写真:LG化学提供)

 
イーロン・マスク氏は、電気自動車やロケットの製造を手掛けるため、科学者の側面で見がちだが、核心は起業家だ。もちろん、ビジョンを打ち出し、人を驚かすことに非常に長けているが、驚かせることは利益や交渉優位を得ることにも繋がる。科学とマーケティングの二つの視点でみる必要がある。

マスク氏は、バッテリーデーの前日(22日)にツイッターにおいて、「LG化学、パナソニック、CATLからのバッテリーセル購入量を増やす」と述べており、他のバッテリーメーカーが作ったセル購入の可能性についても言及している。

バッテリー単価の引き下げは追求しつつも、一方で電気自動車の需要に比べてバッテリーの供給が追い付かないという予想があるなか、その確保はまた別の課題でもある。ユアンタ証券によると、2022年にはバッテリーセルの需要約364Gwhに対して、バッテリーメーカー各社の供給量合計は358Gwhに留まり、供給不足に陥ると予想される。

テスラは、LG化学が電池部門を分社化して設立する予定の新会社「LGエナジーソリューション」(暫定名称)に対して、最大10%まで取得する可能性があると報じられている。LG化学は今年に入って電気自動車バッテリーの世界シェアで累計(1~7月)でトップに浮上している。(CATLやパナソニックと競わせつつも)計算できるサプライヤーとして確保しておきたい存在だろう。

 
(参考記事:「「テスラがLG化学のバッテリー新会社株式を最大10%取得も」韓国専門紙」)
(参考記事:「LG化学がEV電池素材の内製化率を引き上げか…テスラに「対抗」」)
(参考記事:「今年1~7月の世界EV電池シェア、LG化学がシェア25%を占め1位を維持」)
 
 

執筆:イ・ダリョン=編集長

 
 


 
 
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