韓国研究チーム、夢の新素材「黒リン」の構造変化過程を明らかに

研究開発

韓国研究チーム、夢の新素材「黒リン」の構造変化過程を明らかに

 次世代電子素子分野の新物質として注目を集めている「黒リン(black phosphorus)」が外部の光に反応し、しわ(wrinkle)が発生する過程を捉えた研究が発表された。黒リンは2次元素材で、夢の新素材とも呼ばれるグラフェンとともに新素材分野の注目の的となっている。今回の研究は黒リンの「ナノしわ」によって派生される電気的・光学的特性の制御に応用できると期待されている。

 ウルサン科学技術大学校(UNIST)化学科のグォン・オフン教授の研究チームは、「黒リン(black phosphorus、P)」に閃光を当てることで、黒リン内部の微細構造が変形する全課程を捉えることに成功した。黒リンは電子素子やナノスケール微細機械(Nano Electro Mechanical Systems、NEMS)の材料として注目されている物質だ。このような素材の材料として用いるためには、簡単に電気的特性を調節できる必要がある。黒リンは外部刺激による微細構造変形で電気的特性が変化するため、電子素子やNEMSの材料として用いることが可能であるとされている。

 グォン・オフン教授は「今回の研究は光を利用し、黒リンの独特な原子配置構造(異方的)が原因で生じる多様かつ特異な性質(電気・熱伝導性、光学的性質など)をごく短な時間単位で調節できるということを見せたという点で、実証的にも価値のある研究」と評価した。

 今まで、黒リンが外部刺激に反応し、瞬間的に生じる構造変化の過程を直接的に観察した研究はなかった。光の強いエネルギーはナノメートル水準での構造変形を引き起こすため、変形が生じる瞬間を捉えることが困難であり、原子レベルで薄い黒リンの微細構造変化を捉えるためには特別な観察法が必要であるからだ。

 グォン・オフン教授の研究チームは光を外部刺激として、黒リンの微細構造が変形する過程をリアルタイムで観察した。瞬間の反応を捉えるために、「超高速電子顕微鏡」を利用したのである。超高速電子顕微鏡は「超高速撮影カメラ」のように、ごく短い(最短で10-13秒、100フェムト秒)間隔で原子レベルの動きを撮影することができる。研究チームは超高速電子顕微鏡で得た2次元イメージを立体的(3次元)に再構成した後、時系列に合わせて配置することで、外部刺激に反応した黒リンの内部微細構造変化の全課程を捉えた。

 研究チームは、黒リンを構成するリン(P)原子がよりぎっしり、硬く積まれる方向に構造変形が起こりやすいことを明らかにした。原子がぎっしり積まれている方向で「ナノしわ」がより生じやすいのである。皮膚は弾力があるほど、しわができにくいが、黒リンでは相反する現象が発生していた。

 この研究は、超高速電子顕微鏡を利用し、「暗視野イメージング(Dark field Imaging)」技法を適用した。暗視野イメージングは電子ビームを物質内部に通過させることで得た情報を集めてイメージを構成する方法である。しかし、電子ビームの強さが十分ではなく、ビームの照射時間を短くすると、カメラの「フィルム」の役割を果たすセンサーがビームを検出できなくなるため、短い瞬間の変化を検出することは難しいとされていた。

 研究を主導したUNIST化学科のキム・イェジン博士課程研究員は「2次元物質の構造動力学観察に暗視野イメージングを適用した研究としては初めて」と述べ、「国内唯一の電子「直接検出カメラ」を活用することで、暗視野イメージング技法を使うことができた」と説明した。

 この研究は、9月23日、ナノ分野の国際ジャーナル、ACS Nanoに掲載された。また、この研究は、韓国研究財団、基礎科学研究院(IBS)、サムスン総合技術院の支援で遂行された。
 
(画像:黒リンが外部光に反応して構造変化が現れる現象を時間単位で再構成した=蔚山化学技術大学校提供)


 
 
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