[特集]中国の輸出統制法の分析…ファーウェイ制裁対抗と輸出管理の刷新と

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[特集]中国の輸出統制法の分析…ファーウェイ制裁対抗と輸出管理の刷新と

韓国の国際貿易通商研究院(IIT)は今月5日、中国で新たに発行する輸出統制法についての分析レポートを公表した。

IITはまず、中国の輸出統制法の背景について報告。それによると、同法の制定背景には米国によるファーウェイ制裁などへの対抗以外にも、中国の輸出統制制度自体の古さやハイテク産業への対応必要性などが提起され、それらに対応するためにも新たに制定されたとの見方を示している。

そのため、中国は輸出統制制度の法的根拠完備と制度の近代化のために、2016年に「輸出管理法」の立法計画を発表し、ドラフト公開と審議を経て、2020年12月1日に発効する運びになったという。

一方で、IITは米中紛争の程度に応じて活用される可能性についても触れ、「いくつかの条項を介して、米中対立の状況で報復措置をとる法的根拠を用意」していると指摘した。当初の審議では無かった文言や条項が、ファーウェイ制裁など受け、追加された可能性が高いと指摘している。
 

輸出統制法の主な内容

中国の輸出統制法の主な内容は以下のとおりだ。

・輸出統制の対象は、二重用途(dual-use)物品・軍需品、核、およびその他の国際義務の履行と国家安全維持に関連する物品や技術、サービスなどを含む(1条)。その際、民間用途(civil use)であっても、軍事用にも、あるいは軍事的潜在力を上昇させるのに役立つ物品も含まれる

・輸出統制の基本的な範囲は、中国国内から外部に転移される物品の統制(2条)である。その際、中国国民、法人(外資系企業を含む)とその他の組織が外国の自然人、法人、その他の組織に提供する制御物品及びその輸送、積載手段の禁止、制限措置が含まれる。同措置についてIITは、第2次審査までは「輸送、積載手段」は、制御範囲に含まれていなかったが、最終案に追加されたと指摘している。

・輸出統制の主体は、その役割に応じて、政策の批准主体である「国務院(政府)+中央軍事委員会(党)」と政策の執行主体である「国家輸出統制管理部門(商務部など)」に分かれるという。同法の施行と関連したすべての実務は、国の輸出管制管理部門(主に商務省)が担当する。具体的には、二重用途品目の輸出統制リストの制定、調整、および公表や、関連産業の輸出統制ガイドラインのタイムリーな発表、輸出者の輸出統制品目の許可審査及び発行などだ。重要な事項は、国務院と中央軍事委員会に報告し、承認を受けるという。

・輸出統制部門は、国務院(および軍事委)の批准を受けて「輸出統制リスト」を作成し、特定の物品の輸出統制を施行することができ、同リスト以外の物品についても一時制御形態の輸出統制実施可能(9条)となる。ただし、一時的制御の実施期間は2年以下であり、有効期限が切れた後、評価を経てキャンセル、延長、基本リストに含むかどうかを決定する。

・輸出は制御対象以外の物品についても、国家安全と利益に害があるかを認知(knowledge)する義務があり、輸出統制部門の通知(inform)によってこれを認知している場合、輸出管理部門に許可を申請しなければならない(12条、キャッチオール義務)。

・統制対象物品の輸出許可申請の審査および承認するかどうかの決定条件は、①国家安全と利益、②国際義務と対外約束、③輸出タイプ、④物品の感度、⑤輸出目的国あるいは地域などである(13条)。IITは同条項について、3次審議を経て、当初は「国際義務」に続き二番目だった「国家安全」の基準が、「利益」という単語が追加され、最初に列挙されるようになったと指摘している。

・輸出者は、エンドユーザや最終用途を証明する文書を提出する義務があり、輸出統制部署は、輸入業者およびエンドユーザの管理リストを作成して取引許可行審査に活用(15条及び18条)する。輸出管理部門は、国家安全/利益の脅威の可能性、テロの危険は、最終用途の管理違反に該当する輸入業者やエンドユーザのリストを作成し、輸出者名簿に記載された輸入業者/エンドユーザと許可なしに取引することができない(18条)。ただし、リストに含まれている輸入業者やエンドユーザが適切な措置をとり、違反に該当しない場合には、輸出統制部門は、実際の状況に基づいて除外することも可能となる。

・どのような組織や個人も、輸出統制違法行為につながる輸出代理、物品輸送、宅配、通関手続き、電子商取引サービス、金融などのサービスを提供することができない(20条)。

・輸出統制部署は、輸出管理関連の監督、検査、管理のために次の権限を持つ(28条)。具体的には、被調査者の営業所又はその他の関連場所の調査や、被調査者の利害関係者およびその他の関連する組織、個人の関連書類、契約、会計帳簿、ビジネスレターなどの資料を閲覧、複製。さらに、当該輸出行為に使用された輸送手段の検査、出荷停止、違法輸出に対する送還命令や、関連物品の封印、差し押さえ、被調査者の銀行口座照会(ただし、書面による許可が必要)などが可能性となる。

・中国国内の組織や個人が国境の外に輸出統制に関する情報を提供する場合、国家の安全と利益に有害な材料は提供が禁止される(32条)。IITによると、同条項に基づいて、中国進出の外国企業も本社への資料提供時、輸出統制関連規定に該当するかの事前チェックが必要になると考えられる

・同法案の条項を違反した場合、当該企業の代表は、刑事罰の対象となることがあり、最大500万元の罰金や輸出資格取り消し、生涯輸出行為の禁止等の処罰が可能(33〜44条)となる。IITによると、今回の輸出統制法は、既存の税関法に基づく処罰に比べ、より重い罰則機準を適用しているという。特に、中国国外の組織や個人が、本法の関連規定に違反し、中国の国家の安定と利益に害を及ぼす場合には、法に基づいて処罰し、法律責任を追及することができることになる。IITは、現実的に中国が国境外(例えば、韓国)の法人や個人を直接的に規制することはできないが、当該企業の中国との輸出入を制限したり、(中国進出企業の場合)、国内的な制裁を加えたりすることは可能と推定している。

・同法は、中国を経て外国に輸出されている制御物品にも適用される(45条)。同法は、統制物品の国境通過、中継輸送、再輸出、税関特殊監督管理区域(保税区、輸出加工区など)と保税監督管理場所(保税物流センターなど)からの国外輸出にも適用される。

・中国は輸出統制を乱用する国に報復措置をとることがある(48条)。いかなる(任何、whoever)国または地域でも、輸出統制措置を乱用して中国の安全と利益に害を及ぼす場合には、中国は実際の状況に基づいて、当該国と地域に対等な措置をとることができる。IITによると、同条項は、既存の審議中には無かったものだが、最終的な審議において追加されたという。最近の米国によるファーウェイ制裁など、米中間の葛藤状況を反映したという解釈が有力であるとIITは言及している。
 
 


 
 
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