[特集]日米などと比べて規制範囲の広い韓国の流通規制

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[特集]日米などと比べて規制範囲の広い韓国の流通規制

韓国の全経連(全国経済人連合会)は7日、韓国と世界各国の流通規制を比較した「流通規制のグローバル比較と流通法改正案に関する経済界の意見」というレポートを公開した。同レポートでは、日本も含む海外の出店規制や営業規制と韓国のそれを比較しており、興味深い内容となっている。以下に概要を掲載する。

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最近、(韓国の)国会で議論されている流通規制強化案がグローバルな傾向に逆行しているという主張が出ている。全国経済人連合会(以下全経連)がG5(米日英仏独)の国家流通規制の現状を分析した結果、規制をなくしたり軽減したりすることがグローバルなトレンドであり流通規制強化の議論にもっと慎重に行う必要がある。
 

規制のない米国と日本

米国と日本は実質的に出店規制と営業規制がないことが分かった。米国は小売店舗に直接流通規制がなく、これにより、ウォルマートなどの大型小売店の自由な参入が可能となり、流通業者間の競争を誘導していることが分かった。これは値下げ効果とサービスの質の向上につながり、消費者厚生に役立つことが分かった。(※1)

※1) Hausman, J and E. Leibtag(2007),「Cosuer Benefits from Increased Competition in Shopping Outlets: Measuring the Effect of Wal-Mart」

日本は’74年以来、大規模店舗法を施行し、自治体が大規模店舗(※2)の出店可否を判断し、営業時間や休業日についても規制している。しかし、米国がWTOに大規模店舗法を非関税障壁として提訴したことから、流通規制緩和策の議論が本格的に行われた。結果、大規模店舗法は廃止され、大規模店舗立地法を施行し、流通規制を積極的に緩和した。現在、大規模店舗立地法は、大規模店舗の出店を申告制で運営しており、特別な参入制限を設けておらず、営業時間の規制もない。全経連は、直接的な流通規制がない米国では、大型マートの出店により商品の値下げやサービスの質の向上などが生じ、消費者厚生が向上したことを注目している。また、通商圧力に対応し流通規制を廃止した日本の事例は、流通産業もグローバル規制緩和の傾向に応えてこそ生存が可能であることを示唆している。

※2)1,500m2以上の店舗(’74)→500m2以上の店舗(’92)
 

かつての規制大国フランスは?

伝統的に流通規制大国であるフランスは、1,000m2以上の規模の小売店舗の出店を地域の商業施設委員会の許認可事項と規定している。従来は、許可基準が300m2以上の店舗だったが、経済の活性化のために制定された経済現代化法(’08)は、許可基準を1,000m2以上の店舗と規定し流通規制を緩和(※3)した。営業規制も同様に緩和傾向にある。フランスは宗教活動の確保、労働者の保護を目的とし、小規模店舗を含むすべての店舗を対象に営業規制を実施している。労働法によって、午後9時から午前6時までの営業を規制し、日曜営業も制限している。(※4)しかし、最近では、1年のうちの日曜営業可能日数を拡大し(5日→12日)、国際観光地区および主要駅内部のすべての店舗は日曜営業が可能になるなど、営業規制も緩和している。全経連は、伝統的に流通規制が強かったフランスがグローバルの流れに沿って、経済活性化のために流通規制を緩和したのは、流通規制強化一辺倒の政策を推進している韓国に示唆するところが大きいとみている。

※3)フランス出店規制対象:フォンタネガイドライン(’69)3,000m2→ロイヤー法(’79)1,500m2→ラファラン法(96)300m2→経済現代化法(’08)1,000m2

※4)午後9時から午前6時まで(別の労使合意案がない場合)を夜間労働と規定して営業時間を規制
 

都心出店奨励の英国、基準明確なドイツ

英国は都心での出店規制がない。むしろ都心の空洞化を防ぐために、都心外に2,500m2以上の規模の店舗を設立する場合、都心内地域に設立するスペースがないことを証明しなければならない。また、都心外に設立する場合には、都心の境界に最大限隣接して建設するか、都心からのアクセスが良好な交通要地に設立するようになっている。営業規制も、韓国とは異なる。大企業だけでなく、小規模店舗を含むすべての店舗を対象としており、日曜営業時間を規制している。宗教活動の保障などが主な目的だ。

ドイツは自治体ごとに一定規模以上(例えば、1,200m2)の店舗を対象に出店規制を実施している。ただし出店基準を明確に提示されていることから、出店可否の判断を事前に行うことが十分に可能である。ベルリン・ヘッセン州などの主要な自治体は周辺商圏影響分析によって周辺商圏の売上高が10%未満減少すると推定されると、出店を許可している。地域共生協力計画書によって周辺商店街との合意が先行されなければ出店が事実上不可能な韓国と対比される部分だ。

全経連の関係者は、「国内販売代理店が出店するたびに、地元の商店・自治体などの要件が毎回異なり、企業側の苦労が多い」とし、「たまに無理な要求をしても仕方なく受け入れる場合もある」と述べ、「より合理的な基準が必要だ」と強調した。
 

韓国の規制強化法案は規制対象が広い

韓国国会では、出店規制と営業規制を強化する流通産業発展法改正案が所管常任委員会において通過を待っている状態だ。自治体長は伝統的な市場の半径1Km以内で伝統的な市場保護区を指定し、大規模な店舗(※5)と準大規模店舗(※6)の出店を制限することができ、伝統的な市場保護区を伝統的な市場の半径20Kmまで拡大する法案が係留中だ。月2回の休業(祝日)、深夜営業(午前0時〜10時)の禁止などを適用する営業規制対象を、現行の大型マートと準大規模店舗に加え複合ショッピングモール、デパート、免税店にまで拡大する法案も議論されている。

※5)延べ面積3,000m2以上で常時運営される店で大型マート、デパート、複合ショッピングモールなどが該当(流通産業発展法第2条)

※6)大型マート運営会社または子会社が運営する直営とチェーン店や相互出資制限集団の系列会社が運営する直営とチェーン店の産業分類上のスーパーマーケットに該当する店舗など(流通産業発展法第2条第4号、施行令第3条の2)

ユ・ファンイク全経連企業政策室長は、「流通規制強化案を議論する前に、既存の流通規制が変化する流通市場環境に適しているかの政策効果分析が必要である」とし、「今はフランス、日本など海外の主要国が経済危機克服のための流通規制を緩和するのがグローバルトレンドであり、オンライン市場に再編されている流通市場環境などを総合的に考慮して流通政策を再設計しなければならないときだ」と強調した。
 
 
(参考記事:「[特集]韓国の水素経済の現況と課題…水素自動車普及は世界1位も、インフラなど不十分」)
(参考記事:「[特集]外国人の目に映る韓国の投資環境…その魅力と問題点」)
(参考記事:「[特集]世界の電気自動車産業の趨勢と韓国の課題…スタンド数・政府支援など脆弱」)
 


 
 
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