[特集]内製化すすむ中国、製造業拡張の米国、日韓は? コロナ以降のバリューチェーン変化

特集 通商・特許

[特集]内製化すすむ中国、製造業拡張の米国、日韓は? コロナ以降のバリューチェーン変化

韓国の全経連(全国経済人連合会)は15日、「中間財(部品素材)貿易から見たコロナ以降の主要国グローバルバリューチェーンの再編推移」というレポートを発表し、同バリューチェーンの地域化が深まっているとの見方を示している。以下に概要を紹介する。
—-

新型コロナウイルスが発生した2020年、G2(米国、中国)のグローバルバリューチェーン(GVC)の地域化が深化していることが分かった。

全国経済人連合会(全経連)が韓国貿易統計システム(K-stat)の資料をもとに、中間財(部品素材)の貿易実績を分析した結果、今年1〜7月の時点で、中国の部品素材輸入額は前年同期比で36.8%減少した。全輸入額のうち部品素材が占める比重も、中国は14.1%p減少しており、部品素材の独自生産が拡大したことが分かった。一方、米国は今年1〜9月の時点で、全輸入額のうち、部品素材の比重が前年同期比で3.9%p増加し、相対的に完成品の生産機能が強化されたことが分かった。

*貿易統計システム・データのうち、韓国は中間財の輸出入実績、米国・中国・日本は、部品素材の輸出入実績を選択
*期間の目安:韓国(1〜10月)、中国(1〜7月)、米国(1〜9月)、日本(1〜9月)
 

内製化すすむ中国

2020年1〜7月の中国の全貿易規模は2兆4,482億ドルで、前年同期(2兆5,535億ドル)より4.1%減少したが、同4,832億ドルであった部品素材の輸入額は、2020年の同期間に3055億ドルに留まり、36.8%も減少した。全輸入額のうち、部品素材の比重も41.6%から27.5%へと14.1%p下落した。中国は伝統的にGVCにおいて海外部品素材を輸入し、加工・組立をして完成品を輸出する役割を担ってきた。しかし、新型コロナウイルスおよび貿易規制の影響により、海外の部品素材の輸入が難しくなるや、部品素材の内製比率を高め生産機能を維持したものとみられる。強力な規制により困難に直面しているファーウェイやSMICなどの中国企業は、独自の半導体生産工場を中国国内に建設する計画を発表した。今後、米国との貿易紛争が続く場合、この傾向はさらに強化されると予想される。
 

製造業が拡張する米国

一方、米国は新型コロナウイルス以降、全体輸入額のうち、部品素材の比重が増加した。 2019年1〜9月の28.2%(*注1)であった部品素材の比重は、2020年同期間に32.1%を記録し3.9%p増加した。これは伝統的にGVC上の消費を担ってきた米国の完成品生産機能が、リショアリングの拡大などにより、相対的に強化されたものと見ることができる。実際、米国の製造業景気動向を示すPMI(製造業購買担当者指数)(*注2)は、2020年10月に59.3を記録し、2018年11月以来、約2年ぶりに最高値を記録。2020年6月から6カ月連続で50以上を記録し、米国内の製造業の機能が拡張されていることを示している。

*注1)2019.7月の米国の部品素材の実績未発表であり2019年は1〜6月、8月と9月は実績基準

*注2)(PMI Purchasing Managers Index):企業の購入担当責任者の調査を通じて、製造業景気を予測する指数で50以上は製造業景気拡大、50以下は萎縮を意味する

一方、部品素材貿易の比重が最も高いメキシコの比重は、2019年1〜9月の19.6%から2020年同期間に16.8%で2.8%p減少した。これは、メキシコに集中している自動車・家電産業などの部品工場が新型コロナウイルスの影響で稼働が中断されるなど、生産に支障をきたしたためと分析される。
 

韓国と日本は?

韓国と日本は、中国、米国に比べて、新型コロナウイルスによるGVC再編の動きが明確でないことが分かった。韓国の中間財の輸出は1〜10月の時点で、2019年の3,204億ドルから2020年には2,936億ドルへと8.4%減少し、中間材の輸入は2,083億ドルから1,923億ドルへと7.7%減少した。中間財貿易の主要な対象国の比重は、ほとんど変化がなかった。全体の貿易額で中間財が占める比重も2019年の60.7%、2020年60.9%とほぼ同じだった。中国を中心に構成されたGVCが短期間に再編されにくいことや、米国のようにリショアリングがまだ有効化されていない点が原因と分析される。

日本も新型コロナウイルスによる世界的な景気低迷の影響で部品素材の貿易額全体の規模は減ったが、部品素材貿易の比重や主要国は、前年から大きな変化がなかった。日本の部品素材輸出額は1〜9月の時点で、2019年比で10.0%減少し、輸入額も13.1%減少した。部品素材貿易の主要な対象国との比重は、ほとんど変化がなかった。

ユ・ファンイク全経連企業政策室長は、「今回の分析を通じて、新型コロナウイルス以降、G2国を中心に、中国は、部品素材の内製化拡大、米国は完成品の生産拡大というGVCローカライズの動きを確認することができた」とし、「韓国は全体の貿易の中で中間財の比重が約60%に達し、サプライチェーンの特定の国の比重が高く、今後のリスク軽減のための部品素材(中間財)の独自の調達能力を拡大する必要がある」と強調した。
 
 
(参考記事:「[特集]日米などと比べて規制範囲の広い韓国の流通規制」)
(参考記事:「[特集]韓国の水素経済の現況と課題…水素自動車普及は世界1位も、インフラなど不十分」)
(参考記事:「[特集]世界の電気自動車産業の趨勢と韓国の課題…スタンド数・政府支援など脆弱」)


 
 
あなたの感想をSNSでシェアする


この記事について、あなたの感想は?
  • 強い関心がある
  • 関心がある
  • どちらでもない
  • 関心がない
  • 全く関心がない