ロッテケミカルが日本の化学会社JSRのエラストマー事業部を買収するとの報道が先週から韓国メディアなどで報じられるなか、有力経済紙が、ロッテケミカル側が買収に向けた実査作業を終えたと報じた。
(参考記事:「JSRの合成ゴム事業売却先はロッテケミカルが有力か…推定価格は950億円」)
同紙は、投資銀行(IB)業界への取材をもとに、「ロッテケミカルは最近、日本のJSRのエラストマー事業部買収に向けた実査作業を終えた」とし、「ロッテケミカルは野村証券を主幹事に選定し、買収を進めている」と報じた。
JSRのエラストマー事業部は合成ゴム、2次電池用負極材バインダー、ラテックスなどを生産する。JSRは高機能性タイヤに使われる合成ゴム(SSBR)市場で世界5位となっている。
ロッテケミカルはイタリアのVersalis社と合併会社(JV)を設立し、2017年から年10万トン規模で高性能タイヤ用SSBR設備を稼働している。しかし、「毎年この事業で数百億ウォン台の赤字を記録するなど、なかなか安定しない状態だ」と韓国経済新聞は指摘。その理由について、「完成車メーカーなど既存の顧客社の品質認証手続きなどが煩雑で新規メーカーの進出が容易ではないためだ」としつつ、「JSRの事業部を買収すれば、グローバルタイヤ会社が求める製品基準を一発で満たすことができると期待される」と伝えた。
買収価格は最大1兆ウォン(約942億円)水準になると、複数の韓国メディアが伝えている。の
(参考記事:「JSRが韓国複数企業にエラストマー事業の売却を打診か」)
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