[特集]サムスン終わりの始まりか…総帥の実刑判決でコングロマリット空中分解の恐れ

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[特集]サムスン終わりの始まりか…総帥の実刑判決でコングロマリット空中分解の恐れ

サムスングループの事業継承などに絡む贈賄事件などで、同グループ総帥であるイ・ジェヨン=サムスン電子副会長に懲役2年6カ月の実刑判決が下された。イ副会長は弁護士を通じ「今回の判決を謙虚に受け入れ、再上告しないことにした」と明らかにし、同判決が確定した。
 
(参考記事:「懲役判決のサムスン総帥が「獄中経営」を実行か?」)
 
イ副会長は昨年、同裁判の行く末やサムスングループへの批判などを案じてのことか、自身の子には事業を継承しないと発表した。また、コンプライアンスを強調するなどイメージ改善に取り組んだが、結果的に実刑処分となった。

 
トップ不在となるサムスン
 

これまでの拘束期間などを差し引いても、特別恩赦でもない限り、釈放までに1年半は服役することになる。その間、エレクトロニクス業界の巨人・サムスンは、トップ不在で乗り切らなければならない。

もちろん、各企業の実際的かじ取りはCEOが担っており、イ副会長は、長期的視点に立った目標設立や、それに伴う大型投資に際しての意思決定を主に担っているとみられていることから、今すぐ事業に支障を来すわけではないだろう。

しかし、ファウンドリ事業でTSMCを追いかけ、NANDで他社の追い上げに面し、次の投資の一手は大きな意思決定が必要とされる流れのなか、タイミング的には良くない。

 
獄中から経営も?
 

そのため、韓国メディアでは「獄中経営」に乗り出すとの見方もある。実際、イ副会長は2017年2月から1年間拘束された時も、拘置所から一部の意思決定に関与していたとされる。また、父親である故イ・ゴンヒ会長から受け継いだ相続財産の整理と莫大な相続税についても対処が喫緊であることから、関与せざるを得ない状況だ。

イ副会長は26日、社員に向けて獄中メッセージを発した。サムスン電子の社員掲示板に掲載されたとされる同メッセージでイ副会長は、「面目がない。とても大きな荷を背負わせて本当に申し訳ない」と謝罪。そして、「私の状況とは関係なく、サムスンは進むべき道を歩き続けなければならない」とし「投資と雇用創出という企業の本分に忠実で、さらに社会的責任を果たすサムスン生まれ変わらなければならない」と強調した。

 
世界でも珍しいコングロマリット企業
 

刑の確定後、最初に発したメッセージが社員向けという事からも、サムスンの行く末を案じていることが見て取れる。サムスン(サムスン電子・サムスンディスプレイ・サムスン電機・サムスンSDIなど主要企業)は、半導体、スマートフォン、ディスプレイやEV電池など多方面のポートフォリオを抱えるコングロマリット企業だ。途上国ならまだしも、これだけ多様な事業を世界トップクラスで維持できる例はあまりない。

競争の激しいグルーバル市場において、リソースの分散は、本来は不利な要素となる。しかし、サムスンのような韓国財閥企業は、創業家(※イ副会長は三代目)出身総帥が大所高所から長期的視野で意思決定し、ときに大きなリスクもとれることが、結果的にグローバル競争で有利に働いている。(数年先の利益増減を気にしなければならない一般大手企業のCEOと異なるところだ)

では、そのような企業において、いざ、創業家出身の総帥が機能不全に陥ると、どうなるだろうか?

 
刑期満了後も復職できない可能性が浮上
 

聯合ニュースは19日、懲役刑判決を受けたイ副会長について、刑執行が終了してもサムスンにすぐに復帰できない可能性があると報じた。同記事は、同国「経済改革連帯」の論評を引用し、「特定の経済犯罪加重処罰などに関する法律14条就業制限に基づいてイ・ジェヨン副会長は、刑の執行が終了した2022年7月以降も5年の間、サムスン電子の在職することができない」と報じた。

同法の就業制限条項は、横領・背任などを犯した経済事犯のうち、その金額が5億ウォン以上の加重処罰対象となる犯罪者の場合、有罪を確定受けた時」有罪判決された犯罪行為と密接な関連がある企業」に就職することができなくなると規定している。

つまり、イ副会長が2022年7月に満期出所しても、2027年7月まで5年間は、サムスン電子に在職することができないということだ。そうなれば、服役期間も含め計6年半も事業から遠ざかることになり、事実上の引退に追い込まれる可能性が高い。

ただし、同紙によると、過去にSKグループ会長の有罪確定したときに、「無報酬で在職中なので《就職》ではない」という論理で会長を維持した前例があることから、抜け道がないわけではない。とはいえ、イ副会長の今回の判決についても、同国の検察捜査審議委員が不起訴打倒としたにも関わらず、予想に反して起訴され、実刑までくらった。

そういう意味でサムスン側は最悪の事態も想定していると考えられる。場合によっては、創業家抜きの指導体制に移行する可能性も排除できない。もちろん、韓国のトップクラスの人材が集まるサムスンであるから、短期間は耐えるだろう。しかし、コングロマリットを維持できるだけの意思決定をできる人材、言い換えれば、(創業家のように)大きなリスクテイクを背負える人間を探すのは容易ではない。そういう意味で、イ副会長の服役は、サムスンというコングロマリットにとって終わりの始まりとなる可能性がある。
 
(参考記事:「サムスン総裁を在宅起訴…韓国検察、不起訴予想を覆す」)
(参考記事:「サムスンが米工場に3ナノEUVライン等設置か…内外メディア報じる」)
(参考記事:「「インテルがサムスンにGPU生産委託か」米紙報じる」)
 


 
 
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