[特集]アップルとヒュンダイの協議は再開可能性あり 「アップルカー」めぐる交渉

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[特集]アップルとヒュンダイの協議は再開可能性あり 「アップルカー」めぐる交渉

「アップルカー」をめぐる韓国ヒュンダイ(現代自動車)と米アップルの交渉が中断したと米ブルームバーグなどが報じた。ヒュンダイと同傘下の起亜自動車も8日、「アップルとの間で自律自動車に関する協議は行っていない」との公示文を、監督当局を通じて発表した。
 
(参考記事:「アップルがヒュンダイとのEV生産協議を中断か…情報漏れに不快感との見方」)
 
これを受け、韓国株式市場では8日、ヒュンダイ自動車の株価が6.2%、起亜株価は15%急落した。1日で約13兆ウォン(約1.2兆円)の時価総額が吹っ飛んだ計算だ。1カ月前にアップルとの提携話が出てから形成された両社の株価上昇分が綺麗に剥がれ落ちた格好だ。

交渉中断の原因としては、ブルームバーグは、交渉の事実など情報が漏れたことに対しアップル側が不快感を抱いたためとの見方を示している。交渉事実がスクープされた先月8日の報道を皮切りに、アップルがヒュンダイのEVプラットフォーム(E-GMP)を採用することや、生産は起亜自動車が請け負うこと。さらにアップルが起亜自動車に30億ドルを投資するなどの報道を指すのだろう。

アップルはスマートフォンなど既存製品分野においても、サプライヤーに秘密厳守を徹底するスタイルで有名であり、それが原因でヒュンダイとの交渉が中断したという理由付けはさもありなんという気にはなる。

しかし、韓国メディアなどの報道をみていると、そもそも、ヒュンダイ側がアップルとの提携に乗り気ではなかったとの視点も見えてくる。有力経済紙や有力専門メディアによると、アップルとの交渉にはヒュンダイ内部でも当初か反対意見が強くあったそうだ。

その理由を端的に言うと、「アップルの下請け」になってしまうことへの警戒感だ。これは先月8日の報道以降から、度々指摘されてきたことではある。アップルが既存製品でそうであるように、自動車に関しても、デザインや設計はすべてアップル側が行い、委託先には生産のみを担わせる水平分業。ヒュンダイ側が技術やノウハウを共有することはまずない。

ヒュンダイとしては、自らEVで既に上位圏に食い込み、自前のEVプラットフォームも持ち、量産力もある手前、はいそうですかと下請けに甘んじるわけにもいかない。近年、高級車戦略によって成果を得ているだけに、ブランドイメージも保ちたい。そのために、傘下の起亜自動車をして委託生産に専念させるとの報道は、一定の合理性を感じさせた。

しかし、傘下企業とはいえ起亜自動車にもブランドイメージはある。2020年基準でみれば、起亜自動車の米国販売台数はヒュンダイ自動車(約57万台)のそれに匹敵する約53万台となっており、無視できる規模ではない。そのためか、ヒュンダイ側もアップルとの交渉で、技術の共有度の高い、より「対等」なレベルの関係を要求したとみられるが、最終的に折り合わなかったという見方が出ているのだ。

アップルについては、日本の自動車メーカー6社とも交渉を行っているとの報道も出ているが、どの国の自動車メーカーであれ、ヒュンダイが持つような警戒心をアップルに対して抱くことは想像に難くない。

韓国メディアなどでは、ヒュンダイとの交渉中断が再開する可能性についても取りざたされている。先に触れたとおり、量産力やプラットフォームなどの面で、ヒュンダイが有する設備がアップルにとっては魅力的であるとの理由からだ。

たしかに、ヒュンダイの有するプラットフォーム「E-GMP」については、アップルがヒュンダイと王将をした主な理由である米誌などで報じられている。「E-GMP」は米カヌー(Canoo)社が開発したスケートボート技術を基盤としているが、同社がヒュンダイと提携する前にアップルはカヌーに接近するも買収を拒否され経緯があるようだ。

プラットフォーム技術を持つ自動車メーカーは多くないことから、ヒュンダイとの交渉中断はアップル側の駆け引きの一環であり、いずれ再開されるとの見方も少なくない。その場合、アップル側が何らかの「譲歩」をするのか?あるいは、ヒュンダイ側が起亜自動車の「ファウンドリ化」を決断するのか?株価も大きく動かすネタだけに、今後の動きが注目される。
 
(参考記事:「アップルがヒュンダイ傘下の起亜と「アップルカー」生産で17日正式契約か」)
(参考記事:「「アップルカーはヒュンダイのEVプラットフォーム使用」著名アナリスト予想」)
(参考記事:「[特集]ヒュンダイ自動車がEV用プラットフォーム「E-GMP」を公開」)


 
 
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