韓国がパワー半導体のSiC素材検査技術を国産化…「日本の半分のコストで開発」

半導体 研究開発

韓国がパワー半導体のSiC素材検査技術を国産化…「日本の半分のコストで開発」

韓国電気研究院(以下KERI)の研究のチームが、パワー半導体素子の開始点である炭化ケイ素(SiC、 Silicon Caribide)素材の欠陥を早期に分析・評価することができる画期的な技術を開発したと発表した。
 
(参考記事:「韓国が高純度塩化水素(HCI)を国産化…サムスンの品質検査経て量産か」)
 
現在SiC材料検査装置は、日本が世界市場の80%以上を占めるなど技術難易度と参入障壁が高いとされるが、KERIは、これを国産化し、日本製品の半分のコストで生産できるようになったと説明している。

パワー半導体は、電流の向きを調節して、電力変換を制御するなど、人で言えば、筋肉のも同じ役割をする。パワー半導体は、電気自動車や再生可能エネルギーなど環境にやさしい産業の根幹をなす先端材料だ。特に電気自動車バッテリーや電気モーターを接続する高性能インバータに不可欠な部品として活用されており、最近多くの注目を集めている。

パワー半導体の核心である制御の効率を維持する素材は、従来のシリコン(Si)から炭化ケイ素(SiC)で置換される傾向にある。優れた熱的・電気的特性をもつSiCは優れた耐久性と汎用性、動作温度および速度、高効率などを誇り、従来のシリコンパワー半導体市場を急速に塗り替えている。

しかし、SiC材料は、材料の特性上、目に見えない内部の結晶欠陥(dislocation)があり、半導体素子の性能を低下させる主な原因の一つに数えられる。これらの結晶欠陥は、非常に複雑で解明することが困難であることから、半導体素子の駆動初期から特性を低下させる場合がある。より深刻なのは、使用中に徐々に特性が変化して、問題を引き起こす場合だ。例えば、事故に敏感な電力系統現場や、道路の走行中の電気自動車のSiCパワー半導体の問題が発生した場合、深刻な人命・財産被害までつながる可能性がある。

したがって、優れた性能のSiCパワー半導体を開発することも重要だが、問題が発生しないように欠陥を検査し、各種の問題を解決することができる分析技術が必要となる。しかし、SiC材料の欠陥は目に見えず、物質も非常に堅く、観察が難しいとされる。現在SiC材料検査装置は、日本が世界市場の80%以上を占めるなど技術難易度と参入障壁が高い。機器のコストも高価であるため、韓国内では、いくつかのウエハの標本での性能を検査するレベルに留まっている。

しかし、KERI研究チームは、光励起発光(PL、Photoluminescece)現象を利用することでSiC材料の欠陥を検出する技術を国内で初めて開発した。 PL分析法は、励起された(excited)電子が元の位置に戻る段階で特定の波長の光を放つ現象を分析するものである。つまりSiC材料に紫外線(UV)エネルギーを送信の後、電子が出す特定の波長を分析し、正常であるか否か(結晶欠陥)を判断するものである。

本来、SiCはPL発光効率が低い間接型半導体(Indirect bandgap semiconductor)物質で、機器での信号検出が難しかったが、KERIは光学検査機器の専門メーカーであるエタマックス社とのコラボレーションにより、PL損失を抑えるなどの努力で「パワー半導体用SiC材料欠陥分析装置」を開発することができた。

検査対象と評価項目に基づいて、2つの異なる波長の光を選択して、表面と内部欠陥を検出する日本製品とは異なり、KERI開発装置は単一のレーザー波長だけでもSiC素材を破壊せずに内部の様々な欠陥を検査することができるという。

KERIによると、検査精度(欠陥検出能力)などの機器性能は、日本の機器よりも同等以上のレベルを示したという。 KERI研究チームは、メーカーへの技術移転と商業化ライン構築を通じて、検査機器の価格も日本製品(約14億)の半分の水準で供給できるものと期待している。

KERIのナ・ムンギョン博士は、「これまでは、高難度のSiCパワー半導体の分野の市場先占のための素材源泉研究とこれを活用した素子の開発に重きを置いていたが、現在は、開発された製品の信頼性と品質を確保することができる様々な評価方法を開発し、SiCパワー半導体の《設計-プロセス-評価》に至るまでの統合制作ラインを構築した」とし、「持続的な研究を通じて評価対象(ダイヤモンドなどのブロードバンド半導体)の拡大と分析手法の多様化・精密化(Raman分析法など)にまでつながるよう努力する」と述べた。

研究チームは、開発技術と関連した源泉特許出願を完了しており、エタマックス社との継続的な協力を通じて、機器のアップグレードと早期商用化を推進するという。

一方、欧州市場調査機関IHSマークィットなどによるとSiCパワー半導体市場は、昨年約7億ドル規模から来る2030年には約100億ドル規模へと、年平均32%の高成長を示すと予想した。
 
(参考記事:「[特集]韓国の半導体素材や部品などの国産化政策…1年半の経過」)
(参考記事:「ガスタービン国産化進める韓国、特許出願数で三菱やGEを圧倒…韓国政府も支援」)
(参考記事:「韓国企業が「日本が独占する極薄銅箔の国産化に成功」発表…サムスンの半導体に適用へ」)
(参考記事:「韓国が「エポキシ」の国産化に成功…対日輸入率9割の半導体核心材料」)
(参考記事:「[特集]韓国の国際特許出願数が世界4位に…ドイツを抜き日本に迫る」)


 
 
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