韓国の研究チーム、生体組織を透過できる光学顕微鏡を開発

研究開発

韓国の研究チーム、生体組織を透過できる光学顕微鏡を開発

生体組織を超え、他の組織を透視できる光学顕微鏡技術が開発された。一般的に、生体組織は100μm(マイクロメートル、10-6m)以上の厚さだと光学顕微鏡による透過観察ができなくなる。生体組織はタンパク質、脂質などで構成され、光の散乱が多いため、焦点がずれやすく、イメージを撮影してもぼやけてしまうのである。この問題を解決するためには、光の経路を修正することで散乱を防止し、焦点を合わせる波面制御技術が必要である。

韓国ウルサン科学技術大学校(UNIST)バイオメディカル工学科のパク・ジョンフン教授の研究チームは、顕微鏡対物レンズの中央部分を通過する光の経路を選択的に修正し、焦点を合わせる、新しい波面制御技術を開発した。研究チームは、この技術を利用して厚さ710μmのネズミ脳組織を透過し、裏に隠れていた蛍光ビーズの観察に成功した。

研究チームは、生体組織内ではほとんどの光が進行方面に散乱するという点に着眼した。そのため、研究チームは、対物レンズの端っこの部分を通過して組織に斜めに入る光ほど、組織内で多くの距離を移動し、組織内部の細胞などと衝突することで、多くのエネルギーを消耗するという仮設を立てた。

研究チームが開発した波面制御法は、対物レンズの端っこを通過する「低エネルギー光」は無視し、中央部分を通過する「高エネルギー光」だけを焦点に送ることで、焦点に集まる光の強さを強化するという効率的な方式である。実際に、同一な波面制御時間を基準に既存技術と比較した結果、蛍光信号は8.9倍、蛍光ビーズと背景とのコントラストは2.1倍向上していた。

また、この技術は、開口数(NA; numerical aperture)を小さくしても高品質のイメージが得られるという点においても、既存の技術より優れている。一般的に、開口数はイメージの解像度と比例する。

第1著者のバイオメディカル工学科のジン・ヨンウォン研究員は、「生体組織のような媒質(光が通過する物質)においては、既存の方式から脱し、高エネルギー光(低角度で入射する光)だけを選択的に波面制御することが効率的なイメージング方法であると証明した」と説明した。

パク・ジョンフン教授は、「今回開発された技法は、生体組織内に光を透過させ、病変を治療する技術や、生体組織の細胞を調節する光遺伝学技術などに応用できるはず」と述べた。

UNISTバイオメディカル工学科のファン・ビョンジェ、イ・サンウォン研究員が参加した今回の研究は、韓国研究財団(NRF)とポスコ青岩財団の支援で遂行された。また、この研究は、光学分野の国際ジャーナル、Opticaの4月号に掲載される予定だ。(論文題目: Limiting the incident NA for efficient wavefront shaping through thin anisotropic scattering media)


 
 
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