[特集]韓国は自動車用半導体産業を育成すべき…シンクタンクが提言

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[特集]韓国は自動車用半導体産業を育成すべき…シンクタンクが提言

韓国のIIT(国際貿易通商研究院)は最近、「国内自動車用半導体産業の競争力の現状と強化策」というレポートを公開し、韓国も自動車用半導体産業を積極的に育成していく必要があると提言した。以下に概要を掲載する。


新型コロナウイルスの流行に伴う完成車・部品企業による自動車販売の需要予測の失敗や、IT機器、サーバーなど他産業による半導体需要の急増が重なり、昨年末から自動車用半導体の世界的な供給不足が続いている。加えて、日本の地震、米国テキサス州の寒波などの自然災害により、これら地域に所在する半導体工場の一部が稼働を停止し、世界の自動車業界の減産は今年第3四半期(7~9月)まで続く見通しだ。

自動車用半導体の品薄事態は、短期的に解消される一時的な現象ではなく、未来のモビリティ産業における主導権争いがかかった問題であり、戦略的な対応が必要である。電装化と自動化により、自動車が徐々に「車輪のIT機器」に変貌するにつれ、自動車用半導体が自動車産業の中核部品として浮上しているからである。

2020年の世界の自動車用半導体の市場規模は380億ドル(推定)で、半導体市場全体の9.6%を占めており、今後、他の産業用半導体に比べ急速に成長し、2024年には600億ドルに達する見込みである。 NXP(オランダ)、インフィニオン(ドイツ)、ルネサス(日本)などの3大企業を中心に、売上高上位10社が世界の自動車用半導体売上高の60%を占めている。

未来のモビリティ産業の3つのトレンド(電装化‧接続深化‧自動化)により、自動車用半導体産業は、新たな転機を迎えている。

第一に、電装化のトレンドは、自動車用半導体の需要はもちろん、自動車内の活用範囲を大幅に広げる要因となっている。 ADAS(先進運転支援システム)・自律走行、電動パワートレイン、インフォテインメント・テレマティクスなどの部品群が、自動車用半導体の需要拡大を主導する見通しだ。一方、電装化の拡大は、アップルやグーグルなどのグローバルビッグテック企業がモビリティ市場に進出する機会要因としても作用しており、産業のバリューチェーンを戦略的コラボレーションとプラットフォームの競争が共存する双方向構造に再編している。自動車用半導体、電装部品、完成車企業は、既存のハードウェア部門の比較優位を強固にするなかで、ソフトウェア部門の能力を拡大していくことで、これらの変化に対応している。

第二のトレンドである自動車内/自動車間の接続の深化により、車両の機能が複雑になり、これを安全かつ効率的に制御するため、半導体をはじめとする車両の電気/電子(E / E)アーキテクチャは、単一化、統合化される流れを示している。複雑なコンピューティングタスクと複合機能遂行に有利な統合半導体SoC(System On a Chip)の活用が拡大しており、E / Eアーキテクチャはまた、分散型構造から統合構造に発展し、膨大な量のデータを一元的にまとめて処理する必要があり、自律走行技術を裏付けるする見通しだ。

第三に、自動化のトレンドにより、自律走行用AI半導体が脚光を浴びている。その中でもNPU、ニューロモピック半導体など、自動車自体においてAI演算が可能な推論のためのAI半導体の急速な成長が予想される。 NVIDIA、モービルアイ(インテル)などがAI半導体ベースの自律走行チップ市場を主導する中で、従来の自動車用半導体企業は、カメラ、レーダー、ライダーとV2Xに活用される高性能半導体へと事業領域を拡大している。これらSoC、高性能MCUなど、高度なプロセスが必要な半導体は、概ね設計のみを行い、生産は台湾のTSMCなどのファウンドリに委託している。

現在、韓国の自動車用半導体産業の規模は9.4億ドルであり、韓国の自動車産業の生産能力と比較して過度に小さい。世界の主要自動車生産国である米国、日本、ドイツはそれぞれ、テキサス・インスツルメンツ(米国)、ルネサス(日本)、インフィニオン(ドイツ)など世界的な企業を保有しており、自動車用半導体産業の規模が大きい(米国130億ドル、日本の93億ドル、ドイツ72億ドル)。これら企業の半導体の世界市場シェアは、自動車生産と輸出のシェアよりも高い。しかし、韓国の場合、自動車用半導体の世界市場シェアは2.3%で、自動車生産量(4.3%)と輸出額(4.6%)のシェアよりも低い。

また、韓国の半導体製造工程は、12インチウェハの家電‧IT機器用最先端プロセスが中心(82.9%の割合)であり、8インチウェハと30nm以上の旧型工程を主に生産される自動車用半導体を短期間で増産することは構造的に容易でない。韓国の自動車用半導体産業は海外依存度(95%以上)が高く、生産品目が多少制限(インフォテインメント、ネットワーキング半導体など)されていることも、これらの構造的な限界と無関係ではない。

しかし、韓国は世界7位の規模の自動車産業(半導体需要先)と世界市場の18.4%を占める半導体産業(半導体供給先)を保有しており、自動車用半導体産業の成長の可能性をある程度備えている。少数の中小企業‧スタートアップ中心のファブレス部門の規模と設計能力を強化し、世界第2位の規模のファウンドリ能力をもって、高付加価値自動車用半導体の生産を戦略的に行えば、産業の成長をもたらすことができる。韓国の自動車用半導体の売上高は2015年以降、年平均25.2%ずつ成長しており、他の産業半導体に比べ2〜3倍の急速な成長を見せており、自律走行用AI半導体開発やインフォテインメント用半導体の輸出拡大などの成果も目立つ。

自動車用半導体は、韓国の基幹産業であり、主力輸出品目である半導体と自動車のバリューチェーンが結合された分野である。したがって、今後の成長が有望であり、韓国は既存の強みを活かせる分野を中心に、まだ形成初期段階にある自動車用半導体産業の生態系から速やかに構築する必要がある。

まず、ADAS(先進運転支援システム)、インフォテイメントなど、高性能で高付加価値の半導体を中心に、現在保有している生産工程の効率活用とファウンドリ増設検討など、独自の生産能力の確保が必要である。

自律走行用AI半導体、SiC / GaNパワー半導体など、潜在的な成長性が大きい分野で、業界のポートフォリオを多角化する戦略も要求される。また、国内外の技術協力とロボット、IoTなど他産業技術応用に徐々に産業間の境界が崩れているモビリティ市場の技術環境の変化に戦略的に対応することも重要である。

一方、最近自動車用半導体需給の不均衡の中、国内産業の被害を最小限に抑えるために、ファブレス – ファウンドリ – 自動車業界の需要連携など短期的対応も必要である。
 
(参考記事:「文大統領「半導体強国への跳躍を強力に支援する」「EV電池は第2の半導体」 拡大戦略会議で発言」)
(参考記事:「韓国の自動車産業、Q1業績が絶好調も3月から急落…半導体不足響く」)
(参考記事:「[特集]韓国半導体産業協会が政府に建議文を上奏…積極的な産業支援を要請」)


 
 
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