韓国の研究チーム、ペロブスカイト太陽電池の効率を向上させる副産物を発見

研究開発

韓国の研究チーム、ペロブスカイト太陽電池の効率を向上させる副産物を発見

ペロブスカイト薄膜(10-6m水準の薄い膜)製造工程の副産物が、ペロブスカイトα相(phase、結晶粒子を構成する原子の配列)結晶の安定化に影響するという仮設が初めて提示された。

ペロブスカイト太陽電池の核心素材であるホルムアミジニウム鉛三ヨウ化物(FAPbI3、Formamidinium lead triiodide)ペロブスカイト薄膜は、光の吸収効率の高いα相結晶と不純結晶で構成されている。効率と耐久性に優れたペロブスカイト太陽電池を作るには、α相が不純結晶に変化せず、形を維持できるように安定化しなければならない。

ウルサン科学技術大学校(UNIST)エネルギー化学工学科のソク・サンイル教授の研究チームは、今まで知られていなかった工程の副産物の存在を明らかにし、この仮設を検証した。

ソク・サンイル教授は、「今回の研究はα相結晶を安定化させたFAPbl3ペロブスカイト薄膜製造のための新たな指針を提示した研究」と説明し、「効率と耐久性がより向上したペロブスカイト太陽電池の製造に活用できるはず」と述べた。

次世代太陽電池と呼ばれているペロブスカイト太陽電池の効率は、商用のシリコン太陽電池に近接しているが、電池の長期的な安定性に関しては補完が必要である。

ソク・サンイル教授の研究チームは、ペロブスカイト薄膜の製造方法ごとに太陽電池の耐久度が異なることに着目した。原料を順番にコーティングして作った(順次コーティング法)薄膜を使用した電池が、混合された原料を同時にコーティングして作った(単次コーティング法)薄膜を使用した電池より優れた耐久性を見せたのである。

研究チームは、このような違いが順次コーティング法で使用したイソプロピルアルコール(isopropyl alcohol)の影響で生まれているという仮設を立て、最先端の物質分析技術とコンピュータシミュレーション技法を用いて結果を検証した。

まず、イソプロピルアルコールを添加し、薄膜を製造した後、薄膜内部の結晶粒子の形と成分を分析した。分析には、微小角入射x線回折(Grazing Incidence X-ray Diffraction)分析とX線光電子分光(X-ray Photoemission Spectroscop)分析法を用いた。分析の結果、イソプロピルアルコールが添加された薄膜は、対照群に対して内部の不純結晶が少なく、純粋で安定的なα相結晶が多く形成されていた。また、薄膜結晶粒子界面(grain boundary、結晶粒界)にはイソプロピルアンモニウムが存在していた。イソプロピルアンモニウムはイソプロピルアルコールの変形物質である。

UNIST研究支援本部のシン・テジュ教授は、「ペロブスカイト薄膜が合成される、相当複雑な化学調性状態で塩化メチルアミンのアミノ基がイソプロピルアルコールに移ることで(アミノ基転移、transamination)、イソプロピルアンモニウムが作られた可能性がある」と説明した。研究チームは、このような事実を赤外線分光分析法と核磁気共鳴分析法を用いて明らかにした。

韓国化学研究院の計算研究チームは、イソプロピルアンモニウムとα相結晶の熱力学的安定性間の相関関係を分析した。コンピュータシミュレーションによる分析結果、ペロブスカイト結晶粒子の間に存在するイソプロピルアンモニウム分子がα相結晶の安定性を高めていることが確認された。

ソク・サンイル教授の研究チームは、精製された「塩化イソプロピルアンモニウム(iPAmHCl)」を人為的に添加し、単次コーティング法でペロブスカイト薄膜を作り、太陽電池素子を製作した。その結果、FAPbl3のα相結晶が安定化し、効率と安定化に優れたペロブスカイト太陽電池を作ることができた。

ソク・サンイル教授は、「今は電池の耐久性を高めるための体系的な研究が必要な時点」と述べ、「新物質の開発のみならず、ペロブスカイト薄膜の安定性に影響を与える因子間の相関関係を物理化学と固体物理学的接近法を用いて明らかにし、理論的標準を提示する研究も続ける計画」と明らかにした。

ソク・サンイル教授はペロブスカイト太陽電池の研究を先導している研究者である。ペロブスカイト太陽電池の「魔の効率」と呼ばれていたエネルギー変換効率20%を突破し、自身で立てた最高効率記録を5回も更新している。アメリカの国立再生可能エネルギー研究所(NREL)が公認するペロブスカイト太陽電池の最高効率である25.5%も、ソク教授の研究成果である。

この研究は、UNISTエネルギー化学工学科のグォン・ヒョンオ博士課程研究員、パク・ビョンウク研究助教授、研究支援本部のシン・テジュ教授、ポハン加速器研究所の研究チーム、韓国化学研究院の計算研究チームとの協業を通じて遂行された。また、この研究は、エネルギー分野の国際ジャーナル、Nature Energyに掲載された。(論文題目: Stabilization of formamidinium lead triiodide α-phase with isopropylammonium chloride for perovskite solar cells)
 
(参考記事:「韓国の研究チーム、高効率ペロブスカイト太陽電池を開発」)
(参考記事:「韓国研究チーム、ペロブスカイト太陽電池を改善する添加剤を開発」)
(参考記事:「韓国UNIST、次世代正極材内部での水素イオンの移動特性を明らかに」)


 
 
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