韓国UNIST「多孔性固体基盤の高効率水素燃料電池用電解質を開発」

研究開発

韓国UNIST「多孔性固体基盤の高効率水素燃料電池用電解質を開発」

ウルサン科学技術大学校(UNIST)化学科のナ・ミョンス教授、ベク・スンビン研究教授、キム・ヨンサム教授の共同研究チームが、水素イオン伝導性の優れた燃料電池用(陽子交換膜燃料電池)電解質膜素材を開発した。この素材は、一般的な高分子電解質素材とは違い、金属と有機物が混合された金属有機骨格構造体(MOF)である。研究チームはこの電解質の水素イオン伝導度が高い原理も明らかにしたため、今後の高性能多孔性固体電解質の設計にも応用できると展望されている。

水素燃料電池は、水素を空気中の酸素と化学反応させ、電気を生産する装置である。副産物が水だけであるため、環境にやさしい発電装置として知られている。水素燃料電池は、2つの電極と、電極の間で水素イオンを通過(水素イオン伝導)させる電解質膜で構成されている。この電解質膜の水素イオン伝導度は、化学反応の速度に影響し、燃料電池の効率を決定する。

研究チームは、金属と有機物が結合し、多孔性骨格構造体を構成するMOFを用い、60℃で10-2 S(ジーメンス)/cm以上の水素イオン伝導度を持つ電解質素材を開発した。MOFの一種であるMOF-808にアミノスルホン酸イオンを添加(ゲスト分子)した。MOF-808はジルコニウム金属と有機物が結合したMOFである。

今回開発された多孔性素材は、高温で熱処理することでイオン伝導度を30倍以上向上させることができた。熱処理によって気孔内部の酸性度が上がり、水素イオンが効率的に移動できる水素結合ネットワークが形成されることがその原因である。

今回開発されたMOF-808固体電解質は、硫酸のような強酸が含まれていないため、長期間使用しても性能低下せず、合成も簡単である。一般的に、MOF固体電解質を用いて水素イオン伝導度を10-2 S/cm以上にするためには、硫酸のような強酸性物質をMOF気孔に固定するか(担体)、MOF構造を構成する有機物リガンドに水素イオンを出しやすくする作用基を組み込む方法がよく使われている。しかし、このような方法は、強酸によるMOF安定性の低下、有機物リガンド合成の難しさなどの問題がある。

ナ・ミョンス教授は、「固体電解質内部の水素イオンの具体的な移動原理を明らかに下という点で学術的意義が大きい」と述べ、「新しいMOF基盤の水素燃料電池用固体電解質を設計し、開発するためのガイドラインを提示できるはず」と期待を寄せた。

この研究は、韓国研究財団の先導研究センター(SRC)と、創意挑戦研究基盤支援事業の支援で遂行された。この研究は5月17日、化学分野の国際ジャーナル、Angewandte Chemie International Editionに表紙論文として掲載された。(論文題目: Superprotonic Conductivity of MOF-808 Achieved by Controlling the Binding Mode of Grafted Sulfamate)


 
 
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