韓国の研究チーム、量子粒子を利用した新概念レーザーを開発

研究開発

韓国の研究チーム、量子粒子を利用した新概念レーザーを開発

KAIST(韓国科学技術院)物理学科のチョ・ヨンフン教授の研究チームが、髪の毛より100倍薄い正六角形の棒状の半導体で相互作用の大きい量子粒子を生成し、損失が大きくなるほど発光性能の良くなる革新的な時空間対称性レーザーの開発に成功したことが6月11日、明らかになった。今回の研究で開発された時空間対称性レーザーは、高効率レーザー素子から量子光素子まで、広く活用できると期待されている。

あらゆる物理システムにおいて、損失(loss)除去や克服の対象とされてきた。利得(gain)が必要なレーザーシステムにおいても、作動に必要な最小エネルギー(閾値エネルギー)を増加させる損失は、減らすべき対象として捉えられていた。しかし、量子力学における時空間対称性(parity-time reversal symmetry)及び崩壊概念を数学的類似性で光学システムに適用すると、損失で作動を有利にできる、独特な光学的システムが生まれる。

光は基本的にお互いに相互作用しないため、今までの方法では、光を利用した時空間対称性を持つ光学システムを具現するためには、空間的に分離された2つ以上の光学的構造単位を誤差なく、同一に製作しなければならなかった。さらに、このような構造単位の損失と利得を個別的に調節するという、難しい条件の光学的システムを利用していた。

一方、光は半導体内部のエキシトン(電子と正孔が結合した粒子)と強く相互作用できる条件が成立することで、エキシトンと光の特徴を同時に持つポラリトン(エキシトン-ポラリトン)という第3の量子粒子を生成でき、エキシトンの持つ物理的性質によってポラリトン同士の相互作用が大きくなる。特に、窒化物半導体基盤の正六角形マイクロ共振器構造を利用すると、鏡無しでも内部全反射の原理を通じて、自発的に形成される光のモードとエキシトンの強い相互作用で、室温でポラリトンを具現することができる。

チョ・ヨンフン教授の研究チームは、光と違って、相互作用の大きいポラリトンを利用し、一つの正六角形マイクロ共振器の内部に存在する、異なるモードの間の相互作用を直接的に制御する独自的な方法を考案した。

六角対称性を持つ単一共振器の内部には、エネルギーが同一で、正三角形と逆三角形の経路を持つ2つの光のモードが相互作用なしで存在する。研究チームは、光の代わりにポラリトンを利用することで、エキシトンを媒介体として2つのモードの間に直接的な相互作用が可能になるという点に着目した。

研究チームは、逆三角形の経路を持つモードの損失の大きさを連続的に調節できるように、蝶ネクタイの形の溝が刻まれた基板を結合した。これによって、損失が増加するほど、作動に必要なエネルギーが小さくなるという特異な結果を室温で観測し、原因を体系的に明らかにすることができた。このような結果は、損失が大きいほど作動に必要なエネルギーが増加するという一般的直観とは相反するものである。

今回の結果は、既存の光を利用した時空間対称性システムの複雑性と限界を克服し、単一の半導体マイクロ共振器を利用し、時空間対称性レーザーを初めて具現したことに意義がある。

このように、時空間対称性を適用したシステムは、除去や克服の対象であった損失を利用することで、結果的に利得が得られる重要なプラットフォームである。このプラットフォームを利用し、レーザー発振エネルギーを低くすることや、非線形光素子及び敏感な光センサーのような古典的な光素子、光の方向性を制御できる非可逆的な素子、そして超流体基盤の集積回路量子光素子に応用できる。

研究を主導したチョ・ヨンフン教授は、「ポラリトンという量子粒子を利用した新概念単一マイクロ共振器プラットフォームとして、複雑な低温装置がなしで時空間対称性と関連する基礎研究の敷居を下げる基盤になるはず」と説明し、「持続的な研究を通じて、室温でも作動でき、損失を利用した多様な量子光素子として活用されることを期待する」と述べた。

物理学科のソン・ヒョンギュ博士が第一著者として参加したこの研究は、サムスン未来技術育成事業と韓国研究財団の中堅研究者支援事業の支援で遂行された。また、この研究は6月10日、フォトニクス分野の国際ジャーナル、Nature Photonicsにオンライン掲載された。(論文題目: Room-temperature polaritonic non-Hermitian system with single microcavity)


 
 
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