韓国と豪州研究チーム、有機太陽電池の成分・構造の最適条件を探索するマシンラーニングモデルを開発

研究開発

韓国と豪州研究チーム、有機太陽電池の成分・構造の最適条件を探索するマシンラーニングモデルを開発

ウルサン科学技術大学校(UNIST)とオーストラリア連邦科学産業研究機構の研究チームが、有機太陽電池開発に人工知能を活用した技術を開発した。この技術は、有機太陽電池にとどまらず、多様な印刷型光電素子の開発研究を加速化できる、新しい研究方法論として注目されている。

UNISTエネルギー化学工学科のキム・ジンヨン教授の研究チームとオーストラリア連邦科学産業研究機構のパク・トゥジン博士の研究チームは、高性能有機太陽電池の生産に必要な材料の成分比と積層幅を予測するモデルの開発に成功した。予測モデルには、人工知能の一種であるマシンラーニング技術が使用された。また、ロール・ツー・ロール方式(R2R)で有機太陽電池を大量製造することで、マシンラーニングに必要なデータセットを簡単に確保することができた。

有機太陽電池は、有機物、添加剤などを混合した溶液を基板にコーティングする方式で作られている。有機太陽電池は軽量で、柔軟性のあるフィルム状にでき、価格競争力もあるため、次世代太陽電池として注目されている。商用の太陽電池に対して効率性は低いが、近年、多成分有機太陽電池が開発され、電池の効率も改善された。

しかし、多成分有機太陽電池の最適化作業は一般的な有機太陽電池より難しい。有機太陽電池は材料の混合比や積層幅で性能が変化するため、開発された電池の性能を最大化できる条件を探索する「最適化作業」が必要であるが、多成分有機太陽電池の場合、成分の数が多いため、組み合わせの場合の数も増加するのである。

研究チームは、最適性能条件を予測できるマシンラーニング基盤モデルを開発した。マシンラーニングは、学習データが多ければ多いほど正確度が高くなる。研究チームはロール・ツー・ロール方式で2000種類以上の有機太陽電池素子を製作し、学習に必要なデータを揃えた。ロール・ツー・ロール(Roll-to-Roll)方式は、円筒形の棒(Roll)に巻かれたフレキシブル基板に様々な有機太陽電池材料を印刷し、他の棒(Roll)に巻き戻す工程である。基板の位置ごとに異なった成分比と積層幅を持つように設計することで、様々な組み合わせの有機太陽電池を製造することができた。

第一著者であるUNISTのアン・ナギョン博士は、「ロール・ツー・ロール工程で生産された多様な組み合わせの有機太陽電池データを、マシンラーニングが認識できる形にデジタル化するために、「印刷密度(Deposition Density)」という新しい値を考案した」と説明し、「ロール・ツー・ロール装備がある場所なら、公開されたマシンラーニングライブラリーで予測モデルを作ることができ、実験接近性も優れている」と述べた。

また、ロール・ツー・ロール方式は商用化されているため、有機太陽電池の大量生産にすぐ適用できるという長所も持っている。今回の実験の結果、太陽光を電気に変換する効率が10.2%の太陽電池が製造されたが、これは、ロール・ツー・ロール方式で製造された印刷型有機太陽電池では最高記録である。

オーストラリア連邦科学産業研究機構のパク・トゥジン博士は、マシンラーニングモデルの学習と最適化条件の予測を遂行した。最高効率になる条件と薄膜の厚さ別の効率偏差が最も少ない条件を同時に探索する作業を行った。

パク・トゥジン博士は、「商用化のためには高性能条件だけではなく、薄膜の厚さに関わらず、一貫した性能を維持できる条件を探索することも重要である」と述べ、「両方の条件を全て予測し、実験的に検証できたという点で、有機太陽電池の商用化を前倒しできる方法論を提供した研究」と説明した。

キム・ジンヨン教授は、「単一研究で2000種類の組み合わせの有機太陽電池を製作し、分析した前例はない」と述べ、「学習データを増やし、より正確度の高いモデルを開発すると、ペロブスカイトを利用した発光ダイオード、光検出器などの印刷型電子素子の開発にも応用できるはず」と期待を寄せた。

この研究は、韓国研究財団、オーストラリア再生エネルギー機構(Australian Renewable Energy Agency)の支援で遂行された。また、この研究は6月17日、エネルギー分野の国際ジャーナル、「Energy & Environmental Science」に表紙論文として掲載され、ジャーナル編集者が選ぶ「注目されている論文(Hot Article)」に選定された。(論文題目: Machine learning-assisted development of organic photovoltaics via high-throughput in situ formulation)


 
 
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