EVの走行距離は800キロ時代へ…韓国企業は作れないのか、作らないのか

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EVの走行距離は800キロ時代へ…韓国企業は作れないのか、作らないのか

電気自動車(EV)走行距離800キロの時代が開かれた。米国ルシードモーターズが先月30日に顧客に初めて引き渡したエアドリームの完全充電時の走行距離は、米国環境保護庁(EPA)基準で837キロ。これまで走行距離でトップだったテスラのモデルS(652キロ)より185キロ、韓国産電気自動車の中で最も長いとされる起亜EV6(475キロ)よりは1.7倍の差だという。韓国メディア「マネートゥデイ」が報じた。

ルシードの秘訣は、独自に開発し、電力効率を最大化したバッテリーパックやモーターだ。ルシードは現在、サムスンSDIとLGエナジーソリューションの円筒形バッテリーセルを使っている。外信などによると、このLGバッテリーセルは「21700」でテスラモデル3·Yに使われるものと同じだが、これを活用する技術が違う。

ルシードは、アルミニウムリボンでバッテリーセルを結び、接着剤で固定してバッテリーパックを作るが、これは従来の競争業界の方式である針金で結ぶよりも電気抵抗を減らすことができる。これによって、ルシード側は約80馬力分の電力を節約することができると主張する。

さらに、バッテリーパックの温度調節に使われる熱回路を無くし、冷却板に取り替えた。熱回路の場合、スペースを多く取るが、これを除去しながら効率を上げたわけだ。冷却板技術はテスラの4680バッテリーパックにも使われる予定だ。

エアの場合、118kWh(キロワットアワー)バッテリーを搭載したが、これはGMが発売を予告したピックアップトラックのハマー(200kWh)より少ない数値だ。しかしハマーの走行距離は350マイル(約563キロ)だ。単にバッテリーの容量が多いからといって、より遠くへ移動するわけではない。電力効率やバッテリー活用技術、車重などが重要に働く。ルシードが自主製作するモーターも性能に比べて重量と体積が少ない。モーター·インバータ·ギアボックスなどを合算した総重量は74キロだ。大きさはローラーバックに入れられるほどだという。最大2万rpm(1分あたりの回転数)の出力を示すが、900ボルト電圧を使用して充電速度が速い。20分充電して480キロ走ることができ、出力密度(充電速度測定基準)はテスラの2倍水準だ。

車体形態·スプリング荷重量·空気抵抗など多様な方面で走行効率を高めた。車体にアルミニウムを使用し、溶接の代わりにボルトなどで固定し、スマート温度調節システムを通じて配管の大きさも減らすなど、重量を最大限に減らした。ルシードが発表したエアの抗力係数は0.21で、これもテスラモデルS(0.23)より低い数値だ。抗力係数は空気抵抗を測定する時に使われる単位で、数字が少ないほど走行効率が良いという意味だ。

米国電気電子学会(IEEE)が発刊する専門誌「IEEEスペクトル」は「(ルシードは)すべての部分について少しずつ改善する方式(every little bit approach)を取った」と分析した。走行距離を伸ばすためにあらゆる方面で努力を傾けたと評価されている。

ルシードをはじめ、グローバル完成車業界は我先にと、超長距離電気車の発売に乗り出している。メルセデス·ベンツは最大走行距離770キロの最高級セダンEQSを、BMWは630キロのiXを発売する予定だ。ボルボも今年7月、1000キロの電気自動車開発を宣言した。

しかし韓国産の電気自動車の中で最も長い走行距離は起亜EV6ロングレンジの475キロだ。国際基準でも510キロで、ルシードエアの60%水準だ。現代(ヒュンダイ)車グループは最近、米バッテリー開発メーカー「SES」に約1億ドル(約114億円)を投資するなど、走行距離の確保に力を入れている。

専門家らはこれまで韓国国内に超長距離電気自動車がない理由について「できてもできない」と説明した。作ることはできても、コスト面では手に負えないという分析だ。

大林(テリム)大学のキム·ピルス自動車教授は「ルシードは1億ウォン(約960万円)を超えるプレミアム車なのでこうした走行距離が可能だ」とし「走行距離関連技術は韓国でもある程度備えており、必要なら増やすことはできるが、大衆モデルは500キロ台が適当なので生産されていない」と診断した。

韓国自動車研究院のイ·ハング研究委員も「すぐに作ることはできるが、バッテリー価格によって費用が跳ね上がるため、容易ではない」とし「技術力と生態系、市場潜在力が備わってこそ費用を節減できるが、冷静に言えば韓国は米国に比べて不足している」と指摘した。

同研究院によると、米国の自動車部品メーカーの数は約5700社で、このうちエコカー関連メーカーは約1200社だ。これは韓国の内燃機関を含む全体自動車部品メーカー数と似た数字で、関連人材·資本·市場規模で差が出ざるを得ないという説明だ。

イ研究員は「米国にはラグジュアリーブランドを作っても買う市場があり、生産関連費用を節減できる生態系が整えられている」とし「韓国が追いつくには政府が主導して今より早く電気車への転換をしなければならない」と強調した。

参考記事:EVルシード、テスラより185㎞多く走行…サムスン·LGバッテリー搭載
参考記事:サムスンSDI、次世代電気自動車バッテリー「Gen5」の量産に突入
参考記事:LG化学、米ルシードモーターズに次世代円筒型電池供給


 
 
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