韓国大統領府によるバッテリー3社への「圧迫」が波紋広げる

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韓国大統領府によるバッテリー3社への「圧迫」が波紋広げる

韓国大統領府が同国内の電気自動車のバッテリー3社および現代自動車に対し、共同研究開発(R&D)を要請していたという。23日、東亜日報がスクープし波紋を広げている。

同紙によると、昨年12月中旬にカン・ソンチョン産業通商秘書官(当時の産業政策秘書官)が、LG化学・サムスンSDI・SKイノベーションなど国内バッテリー3社および現代自動車の幹部を大統領府に呼び、未来車と次世代電池の開発に共同で行うよう案を出してほしいと要望したという。その場合、電気自動車バッテリーを「第2の半導体」とするため、政府が積極的に投資するという意向も明らかにしたという。

しかし、韓国のバッテリー各社は、それぞれがコア技術を保有しており、世界市場で競争を繰り広げていることから、共同事業を進行することは困難とみられる。同氏によると、財界関係者は「電気自動車のバッテリー技術は、各企業が長い時間と労力をかけて積み重ねてきた結果であり、技術開発はセキュリティが第一」と話したという。

また別の関係者は、「企業間の合従連衡は、お互いの必要性によって行うことであって、大統領府が突然指示をして行われることではない」と述べたという。

LG化学、サムスンSDI、SKイノベーションは、すでに2018年11月に同国産業省(産業通商資源部)の要請で、バッテリー技術開発のための1000億ウォン(約94憶円)規模のファンドを組成したが、現在活動が中断された状態だ。 LG化学とSKイノベーションが訴訟合戦を行っているからだ。

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東亜日報のスクープを受け、野党自由韓国党のパク報道官は、「共同新事業を云々すること自体が、市場経済への無理解を反映した発想だ。無限競争時代に自分たちだけの技術で他者よりも一歩先んじようとする企業にとって共同事業化は理屈に合わない」と述べた。

また、カン・ソンジン高麗大経済学科教授は、「政府が企業に事業の方向を示すことは、企業にとっては圧迫に映ることがある」とし「政府は、企業が投資しやすい環境を作るに留め、民間が自ら事業方向と戦略を立てることが望ましい」と述べたという。

韓国紙のなかには、現在捜査中の「チョ・グク疑惑」に絡める報道もあるなど、波紋を広げている。

一方、大統領府は24日、一連の報道に対し「政府が昨年12月に国内電気自動車バッテリー3社と会ったのは、二次電池産業の競争力の現状と政策提案を聴取するためのものであり、報道の内容は明らかに虚偽である」と明らかにした。


 
 
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